給湯器の修理は、症状によって交換が必要になるケースもあります。
中には「修理なのか交換なのかの判断がつかない」「できれば自分で解決したい」など気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では給湯器の修理について、まずは交換との違いを取り上げたうえで、修理すべきタイミングを紹介します。
また、自分でできる範囲も踏まえて紹介するので参考にしてください。
給湯器における修理と交換の違い
給湯器は本体の状況に応じて、修理なのか交換なのかが異なります。
そこでまずは、給湯器における修理と交換の違いについて、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
| メリット | デメリット |
修理 | 保証期間内なら基本的に無償で対応してもらえる。保証期間を超えていた場合も交換より安い | 給湯器の状態次第では修理できない可能性がある。修理が多くなると費用が負担になる。修理不可でも業者によって出張費がかかる |
交換 | ・新品の給湯器を利用できる ・メーカーや熱量の変更ができる ・修理までの期間を伸ばせる | ・初期費用が比較的高い ・設置から間もない給湯器には不向き |
長い目で見れば修理より交換がお得になる可能性があります。
しかし、給湯器の状態次第では交換せずに済む場合もあるのです。
給湯器の交換は費用が高いので、修理で済ませられる状態を見極める必要があります。
給湯器の修理や交換を検討するタイミング
給湯器の修理や交換を検討するタイミングは、次の状態になっている場合です。
- 給湯器の稼働年数が7年以上経過している
- お湯が出るまで時間がかかる
- 設定した温度が一定にならない
- 異音がする
順番に解説していきます。
1.給湯器の稼働年数が7年以上経過している
給湯器を稼働している年数が7年以上経過している場合に、修理もしくは交換を検討する必要があります。
そもそも給湯器の寿命は、7〜10年程度になっています。
給湯器本体の状態が良くても、寿命を伸ばせるわけではありません。
経年劣化が原因になり、給湯器に取り付けられた部品も劣化している可能性もあります。
つまり、給湯器の稼働年数が7年を超えている場合は、専門業者に点検してもらい、適切な対応をしてもらう必要があるのです。
2.お湯が出るまで時間がかかる
給湯器をつけているのに、お湯が出るまでの時間が遅い場合、給湯器が故障している可能性があります。
たとえば給湯器を設置していた頃と比較し、「前より時間がかかるな」と感じた場合が当てはまります。
しかし、季節によってお湯になるまでの時間に差があるのは、仕方ありません。
仕方がないとはいえ、明らかにお湯が出るまで時間がかかっている場合は、給湯器の修理か交換を検討しましょう。
3.設定した温度が一定にならない
給湯器のリモコンで設定した温度が一定にならない場合も故障している可能性があります。
たとえばシャワーを使っている際、途中でお湯がぬるくなったり急に熱くなったりする症状です。
また、お湯を出そうとしているのに、よく水が出る場合も注意が必要です。
お湯を出そうとしているのに、温度が一定にならなかったり水が出たりする場合、修理か交換を検討しましょう。
4.異音がする
給湯器から明らかにおかしい音がする場合、専門業者に依頼して修理か交換をしてもらいましょう。
もちろん、ガスを点火する際に出る音の可能性もあります。
しかし「ポン」「ガン」などの破裂したような異音が聞こえた際は、注意が必要です。
気になる方は一度、給湯器を作動しているタイミングで、給湯器から出る音を確認してみましょう。
給湯器を交換せずに修理で十分なケース
給湯器の状態によっては、交換せずに修理で十分なケースがあります。
具体的には次の通りです。
- 給湯器の稼働年数が10年経過していない
- 異常を確認してから日が浅い
- 配管が劣化している
- 温度センサーに異常がある
順番に解説していきます。
1.給湯器の稼働年数が10年経過していない
給湯器の稼働年数が10年未満の場合、交換せずに修理で済ませられる可能性があります。
なぜなら給湯器本体の故障ではなく、部分的な故障が疑わしいからです。
たとえば、お湯が出なかったりエラーが表示されたりした場合、部分的な故障が考えられます。
また、修理を依頼せずに自分で解決できる場合もあるのです。
給湯器の稼働年数が短い場合は、すぐ交換せずにまずは修理を検討しましょう。
2.異常を確認してから日が浅い
給湯器を修理するにしても交換するにしても、早期発見・早期対応が重要です。
なぜなら、異常を確認してから対応が遅れると、給湯器本体にまで異常が出てしまう恐れがあるからです。
給湯器本体にまで異常が出てしまうと、本体を交換する必要があるので、費用も高くなります。
給湯器を利用するうえで、何かしらの違和感や異常を感じた際、まずは専門業者に点検を依頼してみましょう。
3.配管が劣化している
給湯器本体ではなく、配管が劣化して水漏れしている場合、給湯器を交換せず修理で済みます。
そもそも水漏れは配管側の問題なので、給湯器ではなく配管の交換が必要です。
また、配管の劣化はお湯が出る・出ないに関係なく、不便に感じてしまうものです。
配管が劣化していたりトラブルを感じたりした場合、専門業者へ依頼しましょう。
4.温度センサーに異常がある
温度センサーに異常がある場合、給湯器本体ではなく部品の交換や修理で済みます。
給湯器の温度センサーは、給湯器に内蔵されている部品です。
設定した温度にするための重要な部品なので、異常を感じた方は一度メーカーに問い合わせてみましょう。
状況別で給湯器の修理前に確認しておきたいポイント
給湯器の修理を依頼する前に確認しておけば、専門業者に依頼せず自分で解決できる可能性があります。
ここからは、状況別で事前に確認しておきたいポイントを、次の観点から解説します。
- 1.お湯が出ない場合
- 2.水が出ない場合
- 3.エラーコードが表示された場合
専門業者に修理を依頼する前のチェック項目として参考にしてください。
1.お湯が出ない場合
給湯器をつけているのにお湯が出ない場合、給湯器ではなく他のところに原因がある可能性が考えられます。
給湯器の温度設定やガス側の問題で解決する可能性があるので、それぞれ表で解説します。
原因 | 対処法 |
ガスの元栓が閉まっている | ガスの元栓を開ける (地震などの災害から自動で閉栓する場合があります) |
混合水栓の部品が損傷している | 水道修理が必要 |
温度設定が低い | 設定温度の見直し |
電源プラグが抜けている | 電源プラグをしっかり奥まで差し込む |
ブレーカーが落ちた | 給湯器の電源を確認 |
お湯の使いすぎ | タンクの残量を考慮する (電気給湯器のみ) |
お湯が出ない場合、上記の対応をすれば給湯器の修理を依頼せずに自分で解決できる可能性があります。
また、ガスコンロをつけてみて点火するか確かめるのも1つの手です。
2.水が出ない場合
蛇口をひねってもお湯だけでなく水も出ない場合、給湯器の修理ではなく水道側に問題があると考えられます。
水が出ない方は、考えられる原因をもとに、適切な対処ができるよう参考にしてください。
原因 | 対処法 |
近隣で断水が発生している | 水道工事の完了を待つ |
止水栓が開いていない | 水道メーターを開ける(集合住宅の場合は共同の可能性があるので管理会社に確認する必要あり) |
凍結している | 凍結予防ヒーターや自動ポンプ運転の活用など |
凍結が原因で水が出ない場合を除けば、多くの場合で水道業者が関係しています。
断水の知らせが届いている可能性もあるので、給湯器の修理を依頼する前に一度、確認しておきましょう。
3.エラーコードが表示された場合
給湯器のリモコンにエラーコードが表示された場合、修理を依頼せずに自分で解決できる可能性があります。
今回はよく出るエラーコードを紹介します。
エラー番号 | 原因 | 対処法 |
111.112.113 | 点火不良・立ち消えエラ- | 電源抜き差しで直らければメーカ修理依頼 |
140 | 温度ヒューズの不具合 | しばらくおいて再度使用、完全に直すにはメーカ―にて部品交換必要 |
上記のエラーコードは、あくまで自分で解決できる可能性がある症状です。
場合によっては修理や交換を知らせるエラーコードもあります。
気になる方は一度、取扱説明書に記載されたエラーコード一覧を確認しましょう。
また、エラーコードがリスト化されたものがインターネット上で公開されているサイトもあるので、検索するのもおすすめです。
給湯器の修理を依頼できる業者
給湯器の修理を考えた際、「どこの業者に依頼すればいいのか」気になる方もいるのではないでしょうか。
給湯器の修理は、次の業者が対応します。
- 給湯器販売会社
- 給湯器メーカー
- ガス会社
業者ごとに特徴を紹介していきます。
1.給湯器販売会社
給湯器販売会社は、数多くの給湯器メーカーを取り扱っている業者です。
ただ基本的にはどの会社も部品交換などはメーカーに依頼するケースが多いです。
2.給湯器メーカー
給湯器メーカーは、給湯器を製造している会社です。
給湯器を製造しているので専門知識が豊富で、修理対応もしてくれます。
設置されている給湯器のメーカーなので、修理における信頼感があります。
また、メーカーの保証期間内であれば、無償で修理してもらえるのもメリットです。
一方で給湯器メーカーによる修理は、前述で紹介した給湯器販売会社より費用が高くなってしまうのがデメリットです。
メーカーのほとんどが提携している修理業者に委託しているので、結果的に高額になってしまいます。
修理費用が高額になっても、サービスの安心感を重要視している方におすすめの業者です。
3.ガス会社
ガス会社は、「ガス事業法」に基づいて事業を展開している会社です。
ガス会社に修理を依頼するメリットは、普段利用しているガスを供給している会社なので、給湯器メーカー同様の安心感がある点です。
給湯器の修理を検討している時間や手間をかけずに済ませたい方は、ガス会社であればすぐに修理に取り掛かってくれます。
一方で、ガス会社による給湯器の修理は、給湯器メーカー同様に費用が高額になる傾向があります。
手間をかけずスピード感ある対応が特徴的な反面、費用がかかるのがデメリットです。
また、ガス会社に依頼する際、「都市ガス」を契約している方は、お手元の検針表や明細から、契約しているガス会社の確認が必須です。
2016年に発表された「電力・ガス小売全面自由化」に伴い、東京ガスや大阪ガスのような大手企業から契約が変わっている可能性があります。
依頼前に一度、検針表や明細に記載された会社を確認しておきましょう。
出典:資源エネルギー庁「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」
給湯器の修理にかかる費用の相場
給湯器の修理にかかる費用は、10,000〜50,000円前後が相場です。
これほどの幅があるのは、給湯器を修理する場所が関係しているからです。
また、給湯器の稼働年数や修理範囲、依頼する業者によっても費用が異なります。
給湯器の修理にかかる費用について、次の表を参考にしてください。
修理する場所 | 修理にかかる費用相場 |
電装系(配線や制御部品など | 6,000~47,300円 |
燃焼系(バーナーやガス電磁弁など) | 17,000~33,000円 |
水量制御系(水量センサーや水流ターボなど) | 10,000~35,000円 |
リモコン | 16,000〜38,000円 |
安全装置や過熱防止装置 | 7,500~58,000円 |
上記の費用は、修理にかかる技術料や部品代、出張費を含めた費用です。
また、メーカーの保証期間内であれば無償で修理してもらえる可能性もあります。
無償になる範囲を含めた修理費用が気になる方は、一度前述で紹介した業者に問い合わせてみましょう。
給湯器の修理におけるよくある質問
ここからは給湯器の修理におけるよくある質問を紹介します。
今回取り上げる質問は、次の3つです。
- 給湯器の修理は自分でできるの?
- 給湯器の修理にはどれくらいの時間がかかるの?
- 賃貸住宅の場合どこに依頼すればいいの?
順番に回答しながら解説します。
1.給湯器の修理は自分でできるの?
給湯器の修理はDIY、つまり自分で修理はできません。
なぜなら、給湯器には数多くの部品や安全装置で構築されているからです。
つまり、給湯器の修理には専門的な知識や技術を証明できる資格が必須です。
そもそも給湯器の修理自体が違法行為になってしまう可能性もあります。
また、資格を保有していない方が自分で修理してしまうと、かえって給湯器の症状が悪化してしまう恐れがあります。
給湯器の修理を依頼する際、次のような資格を保有しているかが重要です。
- ガス機器設置スペシャリスト
- 液化石油ガス設備士
- 簡易内管施工士
上記のような資格を保有しているかどうかで、安心できる業者か見極めるポイントにもなります。
2.給湯器の修理にはどれくらいの時間がかかるの?
給湯器の修理は、ほとんどの場合1日で完了します。
しかし、修理ができるかどうかを業者が現場確認したうえで計算しているので、当日に完了しない場合もあります。
たとえば給湯器の修理に必要な部品が揃っていなかったり修理ではなく交換が必要だったりした場合、当日には完了しません。
また、繁忙期の場合は点検に来る日程調整も難しくなってしまいます。
給湯器の修理を依頼する際は、なるべく余裕を持って依頼しましょう。
3.賃貸住宅の場合どこに依頼すればいいの?
賃貸住宅の場合、修理依頼は管理会社や大家さんに連絡しましょう。
なぜなら給湯器の所有者が管理会社や大家さんになっているからです。
つまり、直接修理業者に依頼しないので、修理費用も管理会社や大家さんが支払うケースが大半です。
しかし、住民側の使い方や管理不足などが原因の場合は例外として捉えられるので注意しましょう。
まとめ
今回は給湯器の修理について、本体交換との違いを取り上げたうえで、具体的な修理のタイミングや自分でできるポイントなどを紹介しました。
給湯器の修理は、お湯がなかなか出なかったり稼働年数が短かった際、交換ではなく修理で済む場合があります。
また、表示されているエラーコードによっては自分でできる範囲もあるので、適切な判断が重要です。
何より給湯器の修理を依頼するにあたって、信頼できる業者選び次第で、今後の給湯器を利用する安心感が異なります。
修理費用の問題もあるので、一度保証期間内かどうか確認してから判断してみてはいかがでしょうか。