給湯器は長く使える機器なので「いつまで使えるのか」気になる方もいるのではないでしょうか。
「できれば長く使いたい」と考えたいものの、実は寿命を迎えた給湯器を使い続けるのは、火災や爆発などのリスクがあります。
そこで本記事では給湯器の寿命について、寿命を知らせるサインや寿命を放置した際の危険性、故障を防ぐためのコツなどを解説します。
寿命を迎えた給湯器を交換する際の業者選びについても取り上げるので、参考にしてください。
給湯器の寿命(耐用年数)は10年が目安
給湯器本体の寿命である耐用年数の目安は10年から15年程度です。
当然メーカーや機種の違い、使い方や使う頻度などによって寿命が前後しますが「一般社団法人日本ガス石油機器工業会」では、標準使用期間を10年とされています。
定期的なメンテナンスがない分、給湯器を安全に使用するために設定された標準使用期間で、寿命を迎えても使い続けるのは注意が必要です。
長く使える機器である一方で、部品の修理や交換が必要になっても、依頼したタイミングで部品の取り扱いがない場合も考えられます。
寿命を迎えた給湯器を使い続けると、修理回数も多くなるので費用が高額になるだけでなく、ガス漏れなどの危険性も考えられます。
出典:一般社団法人日本ガス石油機器工業会「ガス・石油燃焼機器にも寿命があります」(参照2023-12-21)
給湯器の寿命を知らせる7つのサイン
給湯器は長く使える機器なので「いつ設置したのか」「いつが寿命のタイミングなのか」覚えておくのは難しいでしょう。
そこで給湯器の寿命を判断できる7つのサインを解説します。
- エラーコードが表示されている
- 温度の調整がうまくできない
- 水漏れが発生している
- サビがついている
- 異音がする
- 異臭がする
- 黒い煙が出ている
順番に解説するので自宅の給湯器に不具合がないか、1つの判断基準にしてもらえたら幸いです。
1.エラーコードが表示されている
給湯器のリモコンにエラーコードが表示されていると、寿命を迎えていたり故障や不具合を知らせていたりするので、注意が必要です。
エラーコードは、表示されている数字ごとに原因や解決方法がわかります。
給湯器のリモコンにエラーコードが表示されている場合、取扱説明書に記載されているので確認しておきましょう。
ノーリツ社とリンナイ社の給湯器を設置されている方は、以下のページに一覧をまとめているので参考にしてください。
【ノーリツエラーコード】
https://www.chibatoshi.net/noritz-error
【リンナイエラーコード】
https://www.chibatoshi.net/rinnai-error
2.温度の調整がうまくできない
お湯にならないタイミングがあったりお湯になるまでの時間がいつもより長かったりした場合、給湯器の寿命が原因で故障している可能性があります。
給湯器を長く使っていると、内部の部品が経年劣化してしまいます。
給湯器本来の力がなかなか発揮されなくなってしまうので、温度の調整がうまくできなくなってしまうのです。
料理や入浴のタイミングでお湯が出ないのを防ぐためにも、給湯器の交換を考え始めたい不具合です。
3.水漏れが発生している
給湯器本体から水漏れが発生している場合、配管を含めて寿命を知らせている可能性があります。
たとえば給湯器内部にある熱交換器や水を流す配管が、経年劣化を原因に水漏れしている場合が大半です。
給湯器を設置してからの使用期間や頻度によって発生する症状なので、気になる方は一度給湯器の本体や配管を確認しておきましょう。
4.サビがついている
目で見える範囲で給湯器にサビがついている場合、給湯器内部までサビがついている可能性があります。
給湯器のサビを放置してしまうと、故障してお湯が出なくなってしまう恐れがあります。
給湯器本体にサビがついている場合、寿命を知らせていると判断し、本体の交換を検討しましょう。
5.異音がする
お湯を沸かす際に音が出る機器ですが、明らかに違う音がした場合は給湯器の寿命を知らせている可能性があります。
たとえば小さい爆発音のような音や「ピー」と高い音がしている場合が挙げられます。
屋外に設置した給湯器の音を聞き分けるのは難しい場合も考えられますが、一度通常時の音を聞いておくのがおすすめです。
6.異臭がする
給湯器の寿命を知らせる異臭は、ガス臭さや酸っぱい臭いが考えられます。
配管の経年劣化や不完全燃焼が原因になっているのが大半です。
異臭がしたまま給湯器を使い続けるのは、危険な状態なのですぐに修理か交換依頼をしてください。
7.黒い煙が出ている
黒い煙が出ている場合、給湯器の不完全燃焼が発生している場合があるので注意しましょう。
黒い煙ではなく、白い煙が出ている場合は排気を混ぜた水蒸気な場合が大半です。
黒い煙が出ている場合は、前述で解説した「異臭」とともに発生している可能性が高いので、給湯器の寿命と危険性を知らせるサインと判断しましょう。
給湯器の寿命を気にせず使い続けた際のリスク
給湯器が寿命を迎えているのに、放置して使い続けていると以下のような事故が発生する可能性があります。
- 火災
- 爆発
- 一酸化炭素中毒
「独立行政法人製品評価技術基盤機構」の報告によると、経年劣化が原因による事故が多発している結果が発表されています。
給湯器の寿命を迎えても使い続けた結果、2016年から2020年までの5年間で43件も事故が発生しているのです。
2020年12月に発生した事故を事例に紹介すると、大阪府内で一酸化炭素中毒による事故が発生したと経済産業省が発表しました。
原因は浴室内に流れ込んだ一酸化炭素中毒によるものと推測されています。
日々のメンテナンスが、ガスによる事故の防止にもつながります。
給湯器の寿命を気にせず使い続けるのは、故障以外のリスクもあるので注意しましょう。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構「きちんと登録、しっかり点検 ~長期使用製品安全点検制度~」(参照2023-12-21)
出典:経済産業省「[都市ガス]大阪府内で一酸化炭素中毒事故(死亡1名)が発生しました」(参照2023-12-21)
寿命を迎えた給湯器が故障するのを防ぐコツ4選
ここからは「できればすぐに交換しないで長く給湯器を使いたい」と考えている方に向けて、故障を防止できる見込みがあるコツを解説します。
- つけっぱなしにしない
- 冬場の凍結防止を怠らない
- 給湯器の周りをきれいにする
- 入浴剤の使用に注意する
前述で解説したように、給湯器の寿命を迎えても使い続けるのはリスクがあるので、あくまで参考として捉えてください。
1.つけっぱなしにしない
給湯器の寿命である耐用年数は10年から15年ですが、使用期間や頻度によって寿命も変動します。
標準使用期間の10年を例にして解説すると、3,650時間燃焼させる機器と言い換えられます。
つまり1日の中でお湯を使っている時間が長ければ長いだけ、給湯器の寿命に左右されるのです。
給湯器を使う家族人数によって目安の号数が決まっているものの、使用目安を大幅に超えた使用方法の場合、寿命を短くしてしまいます。
給湯器の寿命を迎えても長く使いたい方は、お湯の使用を必要最小限にするのが1つのコツです。
ランニングコスト(光熱費)の削減にもつながるので、参考にしてください。
2.冬場の凍結防止を怠らない
冬場に出張や旅行など長期間不在にする場合、電気代節約を理由に給湯器のコンセントを抜くのは控えましょう。
なぜなら給湯器は冬場の凍結を防止するために「凍結防止ヒーター」が作動しなくなるからです。
仮にコンセントを抜いたりブレーカーを落としたりして電気代を節約したい場合、給湯器の水抜き栓を開き、水を抜いておきましょう。
とくに寒冷地の場合は、配管が凍結して水も出なくなる場合も考えられます。
故障ではない可能性はあるものの、お湯だけでなく水が出ないのは困ってしまうものです。
就寝する前に割り箸1本分ほどの細さで水を出し続けて、配管の凍結を防止しましょう。
3.給湯器の周りをきれいにする
屋外に設置するタイプの給湯器を設置している家庭では、給湯器の周りをきれいにしておくのがおすすめです。
とくに排気口の周りに物があると、排出されるはずの排気が給気口から入ってしまいます。
給湯器の寿命を迎える前に不完全燃焼が原因になり、故障する可能性を高めてしまうので注意しましょう。
物を置いていなかったとしても埃やゴミ、虫などが混入して故障の原因につながる可能性もあります。
給湯器の周りをきれいにしておくと、長持ちできる傾向にあるので定期的に掃除しておきましょう。
4.入浴剤の使用に注意する
リラックス効果や保湿効果が見込める入浴剤の中でも、イオウ成分が含まれている入浴剤を使用する際は注意が必要です。
なぜなら、給湯器内部の機器や配管、熱交換器などを腐食させてしまう可能性があるからです。
炭酸タイプや乳白色の入浴剤を使う場合も同様に、腐食して故障の原因につながる可能性があります。
給湯器を長持ちさせたかったり故障を防ぎたかったりする場合、入浴剤の使用には注意するのがおすすめです。
寿命を迎えた給湯器を交換する際の業者選びで失敗しないコツ3選
賃貸物件に住んでいる方は大家さんか管理会社に問い合わせすれば解決しますが、持ち家の方は自分で業者に交換依頼しなければいけません。
給湯器の交換を依頼する際、以下の業者が交換対応します。
- 給湯器販売会社
- 給湯器メーカー
- ガス会社
ここからは寿命を迎えた給湯器を交換する際、依頼する業者選びで失敗しないコツを解説します。
- 専門の資格を保有しているか
- 良い口コミが集まっているか
- 見積書の記載内容が明確化
それぞれのチェックポイントを解説するので参考にしてください。
1.専門の資格を保有しているか
寿命を迎えたり故障した給湯器を交換するようなガス工事には、専門の資格を保有しているのが必須条件です。
給湯器の交換で主に必要な資格は、以下の通りです。
- 液化石油ガス設備士
- ガス可とう管接続工事監督者
- ガス消費機器設置工事監督者
- 簡易内管施工士
- 第二種電気工事士
- ガス機器設置スペシャリスト
資格を保有していない方がDIYで給湯器を交換するのは禁止されているので、業者を選ぶ際に「何の資格を保有しているのか」確認しておきましょう。
2.良い口コミが集まっているか
実績のある業者の場合、良い口コミが集まっているものです。
口コミが集まっていない業者の場合、会社設立から間もない可能性や実績が少ない業者が考えられます。
口コミを見れば、業者の人柄や対応の良し悪しなどが判断しやすくなります。
地域密着型の業者であれば、距離によっては出張費の削減につながる可能性もあるので、気になる方は口コミと実績を確認しましょう。
3.見積書の記載内容が明確になっているか
依頼する業者選びで決め手になるのが見積書の記載内容です。
たとえば「給湯器 交換費用」のみ記載されているような場合、あとで作業費用や出張費など、追加で請求される可能性があります。
自宅に駐車スペースがない場合、駐車場代を請求される可能性もあり、安さで判断するのはおすすめできません。
給湯器の交換を依頼する業者が用意した見積書に記載された内容で気になるポイントがある場合、必ず業者に確認しておきましょう。
納得のいく説明がない業者は、いわば悪徳業者の可能性があります。
まとめ|給湯器の寿命を迎える前に交換を検討しよう
今回は給湯器の寿命について、寿命を知らせるサインや放置した際の危険性、故障を防ぐコツなど解説しました。
標準使用期間である10年を超えた給湯器を使い続けると火災や爆発、一酸化炭素中毒などのリスクがあります。
給湯器を設置してから寿命を迎えるまでの期間が長いので、気づきにくいものです。
寿命を迎えているのに気づかず使い続けると、エラーコードの表示や温度調整などに影響します。
給湯器が故障してしまうと、お湯が使えなくなってしまうので、なるべく寿命を迎える前に本体の交換を検討しましょう。