給湯器

【徹底比較】給湯器とボイラーに違いはあるの?仕組みや安さの違いなどを解説

給湯器とボイラーの違いを考えた際「どちらもお湯を沸かす機器なのに明確な違いはあるのか」気になる方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では給湯器とボイラーの違いについて、仕組みの違いを取り上げたうえで、メリット・デメリット・安さなどの違いを解説します。

記事を読み終えると給湯器とボイラーの違いを理解できるだけでなく、どちらがお得なのか判断ができるので、ぜひ参考にしてください。

給湯器とボイラーの違いは用途によるもの

地域によっては、給湯器をまとめて「ボイラー」と呼んでいる地域もあります。

給湯器とボイラーの違いは、「お湯を作る」観点では一緒の機器ですが、用途によって呼び名が異なります。

あえて区別した際の違いは以下の通りです。

給湯器 ​ボイラー
機器の違い ​家庭用小型 工業用で大型
​用途 ガスや電気を使ってお湯を作る ​水を熱してお湯や蒸気を作る

機械の大きさによる違いもありますが、主な違いは「何を作るのか」で区別できるのです。

また、給湯器のようにお湯を沸かす「灯油ボイラー」を「石油給湯器」として使用している地域もあります。

つまり、給湯器とボイラーの違いは、ガス・電気・灯油を用いてお湯を沸かしている機器が給湯器で、お湯や水蒸気を用いた機器がボイラーと、認識しておきましょう。

【仕組み別】給湯器とボイラーとの違い

給湯器とボイラーとの違いについて、より詳細に解説していきます。

ここでは給湯器とボイラーとの違いを解説するために、給湯器の中でも家庭用の石油給湯器と工業用ボイラーのように区別したうえで取り上げます。

1.家庭用石油給湯器|水をお湯に変える機器

石油給湯器は、石油(灯油)を使ってお湯を作り出す給湯器です。

ガスや電気でお湯を作る給湯器が設置されている地域以外でたとえるなら、北海道のような寒い地域で石油給湯器が使われています。

ガス給湯器や電気給湯器と比較すると燃焼する力が強いのが特徴的です。

また石油給湯器には、以下のような種類があります。

種類 ​噴射式石油給湯器 ​気化式石油給湯器
燃焼方法 ​霧状に噴射して燃焼 ​バーナーで気化(ガス化)して燃焼
メリット ​すぐにお湯を作れる ​燃焼する際の音が小さい
デメリット ​燃焼する際の音が大きい ​内蔵機器を事前に温める必要がある
​(予熱時間:約3分)

ガス給湯器や電気給湯器と石油給湯器は、構造自体に違いはありませんが、お湯を作る方法に違いがあります。

2.工業用ボイラー|作ったお湯や蒸気を移送させて熱源にする機器

ボイラーは、水を熱してお湯や蒸気を作り出す機器です。

工場・ホテル・病院のような大規模な施設で使われているだけあり、大型機器になります。

一般家庭でも使われる石油給湯器を灯油ボイラーと表現している以外にもお湯を作る専門のボイラーである「温水ボイラー」もあります。

温水ボイラーには、貫流式と貯湯式の2種類あり、主な特徴は以下の通りです。

  • 貫流式温水ボイラー:内部にタンクがない
  • 貯湯式温水ボイラー:タンクにお湯を貯める

どちらも熱交換器で温水を作る仕組みで作動しています。

また、水を熱してお湯や蒸気を作り出す身近なもので「やかん」がイメージできますが、日本ボイラ協会によると以下のように定義しています。

  1. 火気、高温ガス又は電気を熱源とするもの。
  2. 水又は熱媒を加熱して蒸気又は温水を作る装置であること。
  3. 蒸気又は温水を他に供給する装置であること。

引用元:一般社団法人日本ボイラ協会「基礎知識」

つまり、ボイラーを使って作り出させた水や蒸気を離れた場所に移動させて熱源として利用できる機器がボイラーです。

給湯器とボイラーにおけるメリットの違い

給湯器とボイラーとの違いを家庭用と工業用に分けて解説してきましたが、ここからはどちらも家庭用のものに注目し、解説していきます。

今回、ガス給湯器と灯油ボイラー(石油給湯器)におけるメリットの違いについて順番に解説するので参考にしてください。

1.ガス給湯器|コンパクトで設置場所に困らない

ガス給湯器は、比較的本体が小さいので設置場所に困らないのがメリットです。

詳しくは後述しますが、ガス給湯器はコンパクトさが売りなので、本体価格も安価で済みます。

また、燃焼方法によって以下の3種類から給湯器を選べます。

  • 貯湯式:水をタンクの内部に貯めて温める
  • 真空式:タンクの内部で加圧して温める
  • 直圧式:水道の管内で水が通る際に水を温める

コスト削減を意識するなら、直圧式がおすすめです。

一方で安定さを意識するなら、貯湯式にするなど燃焼方法によって選択肢が広がるのも給湯器ならではの特徴です。

何より都市ガスを利用している家庭であれば、燃料切れの心配もいりません。

優れた燃焼性と省エネ化を意識する方におすすめなのがガス給湯器です。

2.灯油ボイラー(石油給湯器)|寿命が長く光熱費が安い

灯油ボイラー(石油給湯器)は、主に北海道のような寒い地域におすすめの機器です。

光熱費(ランニングコスト)が高くなる傾向にある冬場でも、灯油ボイラー(石油給湯器)であれば、熱量が高いので光熱費を安くできます。

機器の寿命である耐用年数については後述しますが、ガス給湯器や電気給湯器と比較しても、寿命の長さもメリットの1つです。

寒い地域に住んでいる方で冬場の光熱費が気になる方は、灯油ボイラー(石油給湯器)を検討してみてはいかがでしょうか。

給湯器とボイラーにおけるデメリットの違い

ガス給湯器と灯油ボイラー(石油給湯器)、どちらもメリットがある一方で気になるのが、それぞれの注意点です。

ここからは、ガス給湯器と灯油ボイラー(石油給湯器)におけるデメリットの違いについて、順番に解説していきます。

1.ガス給湯器|光熱費が高くなる可能性がある

ガス給湯器は、プロパンガスを利用している家庭にとって光熱費が比較的高くなる傾向にあるのがデメリットです。

北海道のような寒い地域でなかったとしても、冬場は特にお湯の使用量が多くなります。

前述で紹介したように光熱費を意識した場合、プロパンガスを利用している家庭と比較すると、光熱費の高さはネックに感じてしまう方もいます。

一方で都市ガスは、プロパンガスの利用で発生する光熱費より安く済みます。

プロパンガスは、それぞれの家庭に配送しているため、人件費が発生するので結果として原価が高くなっているのです。

しかし、プロパンガスの利用で光熱費が高くなるかどうかは人口密度も関係します。

ガス給湯器の利用におけるデメリットである光熱費が気になる方は、住んでいる地域や契約しているガス料金プランを確認してみましょう。

出典:経済産業省「2015 年 10 月 19 日 第 24 回ガスシステム改革小委員会資料」P11(参照2023-11-28)

2.灯油ボイラー(石油給湯器)|スペースの確保が必要になる

灯油ボイラー(石油給湯器)は、ガス給湯器と比べると確保するスペースが広くなってしまうのがデメリットです。

なぜなら、石油タンクを取り付けるスペースが必要になるからです。

また、燃料が灯油なので臭いだけでなく音が気になる方もいるでしょう。

何よりプロパンガス同様、燃料切れが原因で使用できなくなるリスクがあります。

プロパンガスであれば使用量に応じて、定期的にボンベの交換に来てもらえます。

しかし、灯油ボイラー(石油給湯器)の場合は、自分で燃料チェックをするような定期的なメンテナンスが必須です。

定期的に燃料をチェックして、随時給油しなければならない点ではデメリットに感じる方もいるでしょう。

給湯器とボイラーにかかる費用の違い

給湯器とボイラーにかかる費用の違いについて、以下の観点から解説していきます。

  • 本体価格や設置費用
  • 光熱費
  • 耐用年数

それぞれの比較から、家庭用における点で今回はガス給湯器と灯油ボイラー(石油給湯器)、どちらがお得になるのか参考にしてください。

1.本体価格や設置費用

給湯器とボイラーの本体価格や設置費用の相場は以下のような違いがあります。

ガス給湯器 灯油ボイラー(石油給湯器)
​本体価格 ​50,000〜150,000円 ​100,000〜200,000円
設置費用 30,000〜100,000円 ​30,000〜100,000円
合計 ​80,000〜250,000円 ​130,000〜300,000円

ガス給湯器と灯油ボイラー(石油給湯器)の本体価格や設置費用の相場を比較すると、製品にもよりますが、ガス給湯器が安価で取り付けられます。

2.光熱費

給湯器とボイラーの光熱費における違いは、住んでいる地域や契約プランにもよりますが、年間の光熱費にかかる相場は以下の通りです。

ガス給湯器 ​灯油ボイラー(石油給湯器)
光熱費 ​約60,000〜100,000円(都市ガス)

約110,000円(プロパンガス)

​約40,000〜60,000円

前述でも紹介したように、灯油ボイラー(石油給湯器)が光熱費を押さえて利用できるのがメリットです。

一方で都市ガスは比較的安く利用できますが、灯油ボイラー(石油給湯器)ほど光熱費を押さえられない点がデメリットの1つです。

3.耐用年数

給湯器とボイラーの寿命である耐用年数の違いは、以下の通りです。

  • ガス給湯器:7〜10年前後
  • 灯油ボイラー(石油給湯器):10〜15年前後

どちらも特定保守製品と呼ばれる製品なので、規定によると家庭用であれば10年、業務用であれば3年と定められています。

しかし、中でも灯油ボイラー(石油給湯器)は定期的なメンテナンス次第で15年以上使用しているケースもあるのが現状です。

出典:経済産業省「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令が閣議決定されました」(参照2023-11-28)

給湯器とボイラーの違いにおけるよくある質問

ここからは給湯器とボイラーの違いで、よくある質問を取り上げます。

今回、以下の疑問について紹介します。

  • 給湯器やボイラーをつけっぱなしにしても大丈夫?
  • 電気給湯器と比較したらどちらが安いの?
  • ボイラーの交換が必要になった際の流れは?

それぞれ質問に回答しながら解説するので参考にしてください。

1.給湯器やボイラーをつけっぱなしにしても大丈夫?

給湯器やボイラーは「熱を生み出す」点においては同じですが、つけっぱなしにした際の危険性が気になる方もいるのではないでしょうか。

結論、火災などの危険性はほぼありません。

特にガス給湯器において、電源が入っている状態でつけっぱなしにしていたとしても、水を流さなければ点火しません。

しかし、灯油ボイラー(石油給湯器)も含めて設置してからの年数次第では注意が必要です。

また、灯油ボイラー(石油給湯器)の場合は空焚きしてしまうと、故障や損傷・火災などの危険性が伴います。

つまり、使用上の注意を守った利用が必須になるのです。

2.電気給湯器と比較したらどちらが安いの?

電気給湯器とは、ガス給湯器のような燃焼方法ですが、ガスではなく電気を使ってお湯を沸かす機器です。

安全で環境にやさしい点で昨今、注目を集めている給湯器ですが、気になるのがガス給湯器や灯油ボイラー(石油給湯器)と比較した際の費用です。

前述でも取り上げた本体価格・設置費用・光熱費・耐用年数、それぞれの観点から表でまとめました。

​電気給湯器 ​ガス給湯器 ​灯油ボイラー
(石油給湯器)
本体価格 ​100,000〜 600,000円 ​50,000〜150,000円 ​100,000〜200,000円
設置費用 ​100,000〜

400,000円

​30,000〜100,000円 ​30,000〜100,000円
​光熱費 ​約100,000円

(電気温水器)

約20,000〜30,000円

(エコキュート)

​約60,000〜

100,000円

(都市ガス)

約110,000円

(プロパンガス)

​約40,000〜60,000円
​耐用年数 ​10年〜15年前後 ​7〜10年前後 ​10〜15年前後

電気給湯器は、ガス給湯器や灯油ボイラー(石油給湯器)よりも光熱費を押さえられるのがメリットです。

しかし、本体価格や設置費用などの初期費用が高額な点がデメリットの1つです。

また、住んでいる地域や契約プランなどの利用環境によって変動するので、導入を考えている方は念入りな費用計算をしたうえで検討しましょう。

3.ボイラーの交換が必要になった際の流れは?

家庭用ボイラー、つまり灯油ボイラー(石油給湯器)が故障し、交換が必要になった際は、以下の手順で作業します。

  1. 出張による点検・調査
  2. 見積もり
  3. 工事のスケジュール調整
  4. 工事開始(配管や配線の取り外し・追加など)
  5. 新しく設置した機器の試運転や点検

上記の流れが一般的な流れです。

また、作業時間目安は機器の種類や状況にもよりますが、2〜3時間で工事が完了します。

給湯器・ボイラー違いのまとめ

今回は給湯器とボイラーの違いについて、それぞれの仕組みやメリット・デメリットなどの違いについて解説しました。

給湯器とボイラーは、お湯や熱を作る観点では同じ機器ですが、燃焼方法に大きな違いがあります。

また、光熱費の違いや設置に必要なスペースの違いなど、利用環境や住んでいる地域によって選択肢が異なります。

これから給湯器かボイラーのどちらかを設置する予定の方は、設置するスペースや光熱費などの観点から、しっかりと検討したうえで決めましょう。

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