給湯器を長年使っていると「これって壊れているのかな?」と心配になった経験はありませんか。
実は給湯器には、自分でも確かめられる「壊れる前兆」を事前に知らせてくれているのです。
今回は給湯器が壊れる前兆と、自分でできる対策だけでなく、放置するリスクなどをお伝えします。
給湯器の点検依頼をするかどうかを判断するためにも、ぜひ本記事を1つの参考にしてください。
給湯器の寿命(耐用年数)は10年が目安
まず押さえておきたいのが、給湯器本体の寿命である耐用年数です。
給湯器本体の寿命は10年から15年程度が目安です。
当然メーカーや機種の違い、使い方や使う頻度などによって寿命が前後しますが「一般社団法人日本ガス石油機器工業会」では、標準使用期間を10年とされています。
定期的なメンテナンスがない分、給湯器を安全に使用するために設定された標準使用期間で、給湯器が壊れる前兆を知らせる1つの判断基準になります。
長く使える機器である一方で、部品の修理や交換が必要になっても、依頼したタイミングで部品の取り扱いがない場合も考えられるので注意しましょう。
給湯器が壊れる前兆を知らせているのに使い続けると、修理回数も多くなるので費用が高額になるだけでなく、ガス漏れなどの危険性も考えられます。
出典:一般社団法人日本ガス石油機器工業会「ガス・石油燃焼機器にも寿命があります」(参照2024-4-29)
給湯器が壊れる前兆を知らせる7つのサイン
給湯器が壊れる前兆は、以下7つのサインが代表的です。
- お湯の温度が不安定になる
- 追い焚き機能が作動しない
- エラーコードが表示されている
- 給湯器本体から水漏れが発生している
- 異臭や異音が発生している
- 黒い煙が発生している
- 排気口の周りが錆びている
自分でできる範囲の対策も踏まえて解説するので、参考にしてください。
お湯の温度が不安定になる
お湯にならないタイミングがあったりお湯になるまでの時間がいつもより長かったりした場合、給湯器が壊れる前兆を知らせています。
給湯器を長く使っていると内部の部品が経年劣化してしまい、給湯器本来の力がなかなか発揮されなくなります。
結果としてお湯になるまで時間がかかるようになったり、最悪の場合お湯が出なくなったりするのです。
自分でできる対策
給湯器本体を見て点火していないのが原因だった場合、給湯器をリセットやブレーカーのオンオフを試してみましょう。
水圧の変化から起こる「サンドイッチ現象」の場合、お湯を出す蛇口を1箇所にしてもお湯の温度が不安定なのか確認してみてください。
追い焚き機能が作動しない
追い焚き機能が作動しない場合、給湯器が壊れる前兆の1つである電気系統の故障が考えられます。
たとえば自動湯張りの機能が搭載されている給湯器なのに、湯張りの途中で止まった場合は給湯器の故障を疑いましよう。
そもそも追い焚き機能は、浴槽で冷めたお湯を取り組み、ポンプで温めてから浴槽へ戻す仕組みを採用している給湯器が大半です。
つまり循環フィルターに汚れやゴミが詰まっていると、温められたお湯が循環しにくくなるのです。
自分でできる対策
ホームセンターなどで販売されている風呂釜洗浄剤を使ってフィルターを掃除しましょう。
エラーコードが表示されている
給湯器のリモコンにエラーコードが表示されていると、給湯器が壊れる前兆をわかりやすく知らせてくれます。
エラーコードは、表示されている数字ごとに原因や解決方法がわかります。
給湯器のリモコンにエラーコードが表示されている場合、取扱説明書に記載されているので確認しておきましょう。
ノーリツ社とリンナイ社の給湯器を設置されている方は、以下のページに一覧をまとめているので参考にしてください。
【ノーリツエラーコード】
https://www.chibatoshi.net/noritz-error
【リンナイエラーコード】
https://www.chibatoshi.net/rinnai-error
給湯器本体から水漏れが発生している
給湯器本体から水漏れが発生している場合、配管を含めて給湯器が壊れる前兆を知らせています。
たとえば給湯器内部にある熱交換器や水を流す配管が、経年劣化を原因で水漏れしている場合が大半です。
給湯器を設置してからの使用期間や頻度によって発生する症状なので、気になる方は一度給湯器の本体や配管を確認しておきましょう。
自分でできる対策
水漏れが発生している場所を確認して、接続部分の緩みが原因なら自分で解決できそうに感じるでしょう。
しかし感電の恐れがあるので、専門業者に点検を含めて対策してもらうのがおすすめです。
異臭や異音が発生している
給湯器が壊れる前兆として、ガス臭さや小さめの爆発音などが発生している可能性があります。
たとえば小さい爆発音のような音や「ピー」と高い音がしている場合が挙げられます。
そもそも異臭や異音は、給湯器の配管部分が経年劣化や不完全燃焼が原因になっているのが大半です。
異臭や異音が発生したまま給湯器を使い続けるのは、危険な状態なのですぐに修理か交換依頼をしてください。
自分でできる対策
「何かする」わけではなく、あくまで「どんな臭いなのか」や「どんな音がしているのか」を確認し、すぐに専門業者に点検・修理を依頼しましょう。
黒い煙が発生している
黒い煙が出ている場合、給湯器の不完全燃焼が発生している場合があるので注意しましょう。
黒い煙ではなく、白い煙が出ている場合は排気を混ぜた水蒸気な場合が大半です。
黒い煙が出ている場合は、前述で解説した「異臭」とともに発生している可能性が高いので、給湯器が壊れる前兆だけでなく、危険性を知らせるサインと判断しましょう。
自分でできる対策
詳しくは後述しますが、大きな事故につながるリスクがあります。
給湯器の使用を止めて、すぐに専門業者に問い合わせて対処してもらいましょう。
排気口の周りが錆びている
目で見える範囲で給湯器にサビがついている場合、給湯器が壊れる前兆の1つである寿命を知らせています。
給湯器のサビを放置してしまうと、故障してお湯が出なくなってしまう恐れがあります。
給湯器本体にサビがついている場合、寿命を知らせていると判断し、本体の交換を検討しましょう。
自分でできる対策
錆び取りをしようとせず、給湯器を設置した日から換算して何年が経過しているのか確認しましょう。
設置してからの年数がわからなくても、給湯器本体の型番から製造年と大まかな設置年数が把握できます。
給湯器が壊れる前兆を知らせているのに使い続けるリスク
給湯器が壊れる前兆を知らせているのに、給湯器を使い続けると、以下のようなリスクが挙げられます。
- 急にお湯が出なくなる
- 事故の危険性が高まる
急な対応に追われて焦らないよう、順番に解説していきます。
急にお湯が出なくなる
前述で解説した給湯器が壊れる前兆を知らせているのに使い続けると、ふとした瞬間に給湯器が使えなくなる恐れがあります。
給湯器が使えないと、必然的にお湯が使えなくなるので、冬場はとくに困惑してしまうでしょう。
専門業者に修理や交換を依頼しても、給湯器本体や部品の取り寄せが伴うケースがあるので、即日対応は難しくなってしまいます。
夏や冬は専門業者との日程調整が繁忙期の兼ね合いから、すぐに対処してもらうのも難しい場合があります。
つまり、急に給湯器が使えない状況を避けるためにも、壊れる前兆が発生していないか確認しておく必要があるのです。
「自分の目で確認するのは心配」と考えている方は、専門業者に点検を依頼しましょう。
事故の危険性が高まる
給湯器が壊れる前兆を知らせているのに使い続けると、以下のような事故が発生する可能性があります。
- 火災
- 爆発
- 一酸化炭素中毒
実は、2016年から2020年までの5年間で、43件も給湯器を長い期間使い続けた結果、事故が発生しているのです。
日々のメンテナンスが、ガスによる事故の防止にもつながります。
事故につながる前に、本記事で紹介した「給湯器が壊れる前兆」に注意しておきましょう。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構「きちんと登録、しっかり点検 ~長期使用製品安全点検制度~」(参照2024-4-29)
給湯器が壊れる前兆におけるよくある質問
ここからは給湯器が壊れる前兆について、よくある質問に回答していきます。
今回取り上げる質問は、以下の3つです。
- 壊れないようにするために自分でできる対策はないの?
- 給湯器が壊れた際はどこに頼めばいいの?
- 給湯器の交換や修理にかかる費用は?
壊れないようにするために自分でできる対策はないの?
給湯器が壊れないようにするには、なるべく給湯器を使い過ぎず、給湯器周りを掃除するのがおすすめです。
給湯器の標準使用期間である10年間を時間で換算すると、3,650時間燃焼させる機器と言い換えられます。
つまり、給湯器を1日で使う時間が長ければ長いほど、給湯器が壊れる前兆を知らせる時間が短縮されるのです。
給湯器を使う量に直結する「号数」も、給湯能力を上回る量で使い続けると、給湯器の不具合が起きやすくなってしまいます。
給湯器が壊れた際はどこに頼めばいいの?
給湯器が壊れた際、給湯器本体を交換する必要があります。
給湯器の交換は、以下の専門業者で対応してくれます。
業者名 | 特徴 | こんな方におすすめ |
ガス会社 | ガス関連のプロフェッショナル | 安心感を重視している方 |
給湯器メーカー | 製品知識が豊富 | 専門性を重視している方 |
家電量販店やホームセンター | キャンペーンやポイントの付与 | お得さを重視している方 |
工務店やリフォーム会社 | リフォームとセットで対応可能 | リフォームと一緒に工事したい方 |
給湯器販売工事会社 | 割引率が比較的高い | 安心感と価格のバランスさを重視している方 |
インターネット通販 | コストを抑えられる | とにかく安さを重視したい方 |
各業者の特徴やおすすめポイントは「【結局どこに頼むのがいいの?】給湯器の交換を依頼する業者選びのコツや注意点を解説」で取り上げているので参考にしてください。
給湯器の交換や修理にかかる費用は?
給湯器が故障した際、修理するにしても交換するにしても、使っている給湯器が「保証期間内」なのかで費用が決まります。
仮に保証期間内ではなかった場合、有償での修理になります。
修理が必要になった場合の費用相場は、以下の通りです。
修理する場所 | 修理にかかる費用相場 |
電装系(配線や制御部品など) | 6,000~47,300円 |
燃焼系(バーナーやガス電磁弁など) | 17,000~33,000円 |
水量制御系(水量センサーや水流ターボなど) | 10,000~35,000円 |
操作リモコン | 16,000〜38,000円 |
安全装置や過熱防止装置 | 7,500~58,000円 |
一方で給湯器の交換が必要になるほどの故障だった場合、給湯器本体の性能で価格が変動します。
たとえば、追い焚き機能の有無や省エネ性能の高さなどが影響します。
追い焚き機能がなくて省エネ性能が低い給湯器であれば、メーカーや機種にもよりますが60,000〜150,000円前後が相場です。
追い焚き機能が搭載されていて省エネ性能が高い給湯器であれば、130,000〜250,000円前後かかります。
また、30,000〜60,000円前後の工事費用も発生します。
給湯器を点検してもらい、プロの目線からしっかりアドバイスをもらっておきましょう。
給湯器の修理が必要か判断する方法など「給湯器は修理すべきなの?交換との見極め方や状況別の対処法など解説」で、より詳しく解説しているので参考にしてください。
まとめ|給湯器が壊れる前兆を迎える前に対策しておこう
今回は給湯器が壊れる前兆について、具体的な症状や自分でできる対策、放置して起きるリスクなどを解説しました。
給湯器が壊れる前兆には、お湯の温度が不安定になったりエラーコードが表示されたりするような、自分で対策できる場合もあります。
しかし、異臭や異音のように放置すると事故につながる恐れもあるので、すぐに対処しておきたいものです。
自分の目で確かめて「前兆はなかった」と勘違いするのが心配な方は、今回紹介した専門業者に点検してもらうのをおすすめします。