キッチンをリフォームするとき、「IHクッキングヒーターか、それともガスコンロか？」と迷う方は多いのではないでしょうか。オール電化住宅が普及してきた昨今、お子さまやご高齢のご家族を配慮して「キッチンも電気に」と考える方も多いことでしょう。
光熱費をはじめ、「IHクッキングヒーター」と「ガスコンロ」はそれぞれどんな特徴があり、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。本記事ではどちらにするかお悩みの方の参考になるよう、徹底比較しました！
ぜひ最後までご覧ください。
IHクッキングヒーターとガスコンロの「光熱費」を比較！
まず、IHクッキングヒーターとガスコンロの「光熱費」から比較してみましょう。
結論からお伝えすると、「ガスコンロ」の方がおトクです。その理由を解説します。
ランニングコストは「ガスコンロ（都市ガス）」が一番安い！
ガスには「都市ガス」と「プロパンガス（LPガス）」という2種類のガスが存在します。都市ガスは道路の下のガス管を通じて供給されますが、プロパンガスはボンベにガスを充填して事業者が配送します。そのため、プロパンガスの方が一般的には高額です。
以下にガスコンロ使用時の「都市ガス」と「プロパンガス」のガス代と、IHクッキングヒーター使用時の「昼間」と「夜間」の電気代の4つの項目で、1kWh※1あたりのランニングコストを比較してみます。
| ガスコンロ | 都市ガス | 14.84円 |
| プロパンガス（LP） | 24.12円 | |
| IHクッキングヒーター | 電気（昼間） | 32.79円 |
| 電気（夜間） | 19.99円 |
出典：石油連盟／全国平均（2024年10月）エネルギー別単価比較＜1kWh当りのエネルギー単価（税込み）＞
コストを比較すると、以下の順に安いことがわかります。
- ガスコンロ（都市ガス）
- IHクッキングヒーター（夜間）
- ガスコンロ（プロパンガス）
- IHクッキングヒーター（昼間）
※1：1kWh＝1時間に1000W(=1kW)の機器を運転したときの消費電力量
光熱費だけでなくライフスタイルで比較を！
ただし、一概に光熱費だけで決めるのではなく、ライフスタイルに合わせて決めるのが得策です。
たとえば、共働きなどで昼間の調理が少なく、早朝・夜間の調理が多いご家庭であれば、都市ガスと電気（夜間）はそれほど大きな差はありません。また、IHクッキングヒーターの場合は調理時間や電気料金のプラン、オール電化の有無などによって費用が大きく変わります。
光熱費は参考程度にして、ご家庭のライフスタイルに合わせて選びましょう。
IHクッキングヒーターのメリット
では、「IHクッキングヒーター」のメリットは何でしょうか。主に以下の4点がメリットといえます。
- 火を使わない安心感
- 掃除がしやすく清潔
- 火の回りが早い（熱効率がよい）
- 便利な機能で操作しやすい
具体的に解説していきましょう。
１．火を使わない安心感
IHクッキングヒーターのメリットといえば、「火を使わずに調理できる」という安心感です。
コンロから鍋をはずすと加熱がストップする設計なので、消し忘れの心配がありません。火災や燃え移りによる火傷のリスクが圧倒的に少なくなるので、お子さまやご高齢の方でも安心して使用できます。
２．掃除がしやすく清潔
IHクッキングヒーターはお掃除がラクです。
五徳などの凸凹がなく、天板がフラットなので、サッとひと拭きするだけでキレイになります。ガスコンロのお掃除が面倒で汚れを放置しがちな方も、IHクッキングヒーターならお手入れのストレスを軽減できます。
３．火の回りが早い（熱効率がよい）
IHクッキングヒーターは火力が弱いというイメージを持たれやすいですが、実はガスよりも熱効率がよいので火の回りが早く、熱しやすい特徴があります。
IHは電流を流すことで鍋自体が発熱するしくみです。周囲に熱がほとんど逃げず、高火力でお湯もスピーディーに沸かせるので、時短や省エネにもなるのは魅力的です。
また、ガスコンロと異なり、キッチンが暑くなりにくいというメリットも。夏場も快適に料理を楽しめます。
４．便利な機能で操作しやすい
IHクッキングヒーターにはもっと料理が簡単で楽しくなるような便利機能も満載です。
たとえば、機種によってはボタンひとつで温度を細かく設定して、天ぷらをカラっと揚げたり、卵焼きを焦がさずにふんわりと焼き上げたりする機能があります。タイマー設定や吹きこぼれ防止機能で、弱火でコトコト煮込んでいる間にキッチンを離れられる場合も。
IHクッキングヒーターの火力は、液晶画面などに表示されるため、立ったままの楽な姿勢で火力の確認や調節ができる点もメリットです。
IHクッキングヒーターのデメリット
一方、IHクッキングヒーターにはデメリットもあります。主なデメリットは以下の4点です。
- 同時に強火の調理が難しい
- IH対応の調理器具が必要
- 停電時に使えない
- 使用直後は天板が熱い
具体的に解説していきます。
１．同時に強火の調理が難しい
IHは電力を使いますが、電力は内線規程で容量が決められているため、同時に強火の調理はできません。
3口のコンロを同時に使うことはできますが、2つ以上のヒーターを同時に使用した場合、総消費電力量を超えてブレーカーが落ちないようにするため、IHヒーターの火力を自動的に制御するしくみになっています。
油断するとブレーカーが落ちてしまうこともあるので、同時に複数のコンロを使用する場合は注意しましょう。
２．IH対応の調理器具が必要
IHは電気を流して発熱するしくみなので、従来のアルミや銅、土鍋など使えない素材もあります。
ガスコンロからIHに交換する際は、底面に金属をコーティングしたIH対応の鍋かどうかを確認しましょう。普段から使い慣れた鍋をそのまま使いたい場合は、アルミや銅などすべての金属鍋を使える「オールメタル加熱」のIHクッキングヒーターを選ぶのもひとつの手ですが、初期費用がかかります。
標準のIHクッキングヒーターの場合、金属製で鍋底が平面になっているIH対応の鍋しか使用できないという不便さは否めません。
３．停電時に使えない
IHクッキングヒーターは電気を使用するため、停電時には使用できません。
台風や地震などの災害時には復旧までの時間がかかってしまい、特に冬場の食事の際は厳しい状況になることもあります。
５．使用直後は天板が熱い
IHクッキングヒーターは火が発生する危険はありませんが、使用直後の天板はかなり熱いので、注意は必要です。
調理した直後、うっかり天板に触れてしまうと火傷をしてしまう可能性があります。ご高齢の方が住んでいて心配な場合には、使用していないときにフタができるタイプの機種を選ぶと安心です。
ガスコンロのメリット
続いて、ガスコンロのメリットを見ていきましょう。ガスコンロの主なメリットは以下の4点です。
- 高火力を同時に使える
- 調理器具を選ばない
- 停電時でも使用できる
- いつ使ってもガス代は同じ
具体的に見ていきましょう。
１．高火力を同時に使える
ガスコンロの最大のメリットは、2口でも3口でも強火での調理が可能なことです。煮込んでいる間に焼き物や湯沸かしをするなど、同時進行ができて調理時間の短縮にも繋がります。
また、IH製品のほとんどは鍋をコンロから離した状態での調理ができません。高火力ならではの鍋振り料理に適している点もメリットです。
２．調理器具を選ばない
ガスコンロは火で直接熱するので、鉄やステンレス、ホーロー、アルミ、土鍋など、さまざまな素材の鍋やフライパンで調理を楽しめます。購入時もコンロに対応する鍋かどうかを確認する手間がなく、買い替えの必要がありません。
３．停電時でも使用できる
電気に一本化すると停電時にすべての機器が使用できなくなることもありえます。
現在、多くのガスコンロは乾電池で点火するしくみなので、停電中も使うことができます。災害による急な停電や長時間の計画停電でも、お湯が沸かせたり調理できるのはうれしいポイントです。
４．いつ使ってもガス代は同じ
ガス料金は「都市ガス」「プロパンガス」に関わらず、 どの時間帯に使用しても同じ料金です。
一方、電気の料金プランは一般的に昼間は割高に、夜間は割安に設定されている場合が多いので、光熱費を節約したい場合は料理をする時間に気をつける必要があります。
調理時にかかるランニングコストはガスコンロの方が管理しやすいです。
ガスコンロのデメリット
一方、ガスコンロのデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。主なデメリットは以下の3点です。
- 火の危険を伴う
- キッチンが暑くなりやすい
- 掃除が大変
具体的に見ていきましょう。
１．火の危険を伴う
直接火を使うという特性上、火災や火傷、燃え移りなどの危険が伴います。
現在のガスコンロには消し忘れ等を防止するSiセンサーという安全装置がつくなど、安全性も高まっています。しかし、小さなお子さまやご高齢の方、ペットがいらっしゃるご家庭では注意が必要です。
２．キッチンが暑くなりやすい
ガスコンロは火を使うため、どうしてもキッチンの温度が上がります。
スペースの限られたキッチンではエアコンや扇風機等も設置しにくく、特に暑い夏はキッチンに立つのが億劫になることも。
３．掃除が大変
昔に比べるとガスコンロも清掃性は上がっていますが、五徳など構造が複雑なところはお掃除が不便になりがちです。
火が当たるので焦げつきもできやすく、キレイな状態を保つにはこまめなお手入れが欠かせません。汚れたまま放置して焦げつきがひどくなると、さらに手間がかかります。
フラットな面を拭くだけのIHクッキングヒーターに比べると、やはり掃除の大変さは否めません。
【まとめ】IHクッキングヒーターとガスコンロは作る料理やライフスタイルに合わせよう！
IHクッキングヒーターも、ガスコンロも、どちらが良い悪いではなく、それぞれのメリット・デメリットがあります。家族構成や作る料理、調理する時間帯によっても求められる機能や特徴が異なることがご理解いただけたのではないでしょうか。
必要な機能は何なのか、よく吟味したうえでご家庭のライフスタイルに合わせて選ぶことをおすすめします。もしガスコンロを設置・交換する場合は都市ガスサービスでも承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。