エコキュートは、省エネ性能の高い給湯システムとして多くの家庭で導入されています。しかし、どんなに高性能な設備でも寿命は避けられません。
この記事では、エコキュートの寿命の目安や買い替えのタイミング、長持ちさせるためのポイントまでくわしく解説します。買い替えのサインを見逃さず、快適なお湯ライフを続けましょう。
エコキュートとは?
エコキュートとは、空気の熱を利用してお湯を沸かす「ヒートポンプ技術」を活用した家庭用給湯システムです。
電気エネルギーを効率よく使い、少ない電力で大量のお湯を作ることができるため、省エネ性が高く、光熱費の削減にもつながります。主に深夜電力を活用して湯を沸かし、貯湯タンクに蓄える仕組みとなっており、環境負荷の少ない「自然冷媒(CO₂)」を採用しているのも特徴です。
ガス給湯器や電気温水器に比べてCO₂排出量が大幅に少ないため、環境保全の観点からも注目されています。近年では災害時の非常用給水源としての役割も期待され、家庭のライフラインとして重要な存在です。
エコキュートの平均寿命は?
エコキュートの一般的な寿命は10年〜15年とされています。使用環境やメンテナンスの有無によって前後しますが、多くのメーカーが「設計標準使用期間」を10年に設定しています。
部品ごとの寿命目安
- 貯湯タンクユニット:10〜15年
- ヒートポンプユニット:10〜13年
- リモコン・基盤類:7〜10年
くわしく解説します。
【貯湯タンクユニット】
貯湯タンクユニットは、ヒートポンプユニットによって作られたお湯を保温しながら貯めておく役割の部品です。貯湯タンクユニットの平均寿命は10~15年とされており、ヒートポンプユニットよりも寿命は長めです。
ただし、貯湯タンクユニットには給湯熱交換器や電装基板などの精密な部品も含まれています。これらの部品に不具合が出ると「お湯が出なくなる」「湯はりができなくなる」などの症状が現れます。故障の場合はリモコンにエラーコードが表示されるため、エラーが出たら貯湯タンクユニットの交換またはエコキュートの買い替えを検討しましょう。
【ヒートポンプユニットの寿命】
エコキュートに用いられるヒートポンプユニットの平均寿命は10年程度です。
ヒートポンプユニットの寿命が近くなるとリモコンにエラーコードが表示される、お湯が沸くまでの時間がかかるなどの症状が現れるようになります。ヒートポンプユニットに不具合が出た場合は、修理や交換を検討しましょう。
【リモコン・基盤類の寿命】
エコキュートに搭載されているリモコンや電子基盤は、温度設定や運転状況の表示、タイマー機能の操作など、日々の使用に欠かせない重要な部品です。しかし、これらの電子部品は他の機械部品に比べて熱や湿気、電気的ストレスに弱く、寿命が短めであるという特徴があります。
特に、給湯器のリモコンは浴室やキッチンなどの水回りに設置されるため、湿気や結露の影響を受けやすい環境にあります。また、基盤内部では微細な電子回路が常に電流を流して動作しており、経年によるはんだ劣化やコンデンサーの消耗が進むと、不具合やエラーが発生しやすくなります。
リモコンの反応が鈍くなったり、表示が点滅・消灯するような症状が見られた場合は、基盤の寿命が近いサインといえるでしょう。早めの点検・交換によって、より大きなトラブルを防ぐことができます。
寿命が近いサインとは?見極めポイント
エコキュートは長期間使用する機器だからこそ、経年劣化によるトラブルの兆候を見逃さないことが大切です。以下のような症状が現れたら、寿命が近づいているサインかもしれません。
- お湯が出にくい、ぬるい
- 異音がする
- エラーコードが頻発する
- 水漏れがある
順番に解説していきます。
1. お湯が出にくい、ぬるい
シャワーの勢いが弱くなったり、設定温度よりもぬるいお湯しか出なくなったりする場合は、ヒートポンプの性能低下や温度センサーの故障が考えられます。
貯湯タンクに十分なお湯がたまっていない、または加熱がうまくいっていない可能性があります。
2. 異音がする
「カラカラ」「ガタガタ」「ブーン」といった、これまでに聞いたことのないような音が本体からする場合は、内部のコンプレッサーや送風ファンなどの機械部品が摩耗・劣化している可能性があります。
特に運転中や停止直前の異音は、部品の寿命を示すサインです。
3. エラーコードが頻発する
リモコンに「E○○」や「H○○」などのエラーコードが頻繁に表示される場合は、機器に何らかの不具合が起きている証拠です。
電源の入れ直しで一時的に解消されることもありますが、短期間に何度も出る場合は、修理か本体交換が必要になるケースが多くなります。
4. 水漏れがある
タンクの下部や配管の接続部分から水がにじみ出ている、水たまりができているなどの症状は、配管の劣化や貯湯タンクの腐食が進んでいる可能性を示します。
水漏れを放置すると、機器の故障だけでなく家屋の床材や壁の損傷にもつながるため、早急な対応が必要です。
修理と買い替え、どちらを選ぶべき?
故障が起きたとき、「修理するか、買い替えるか」で迷う方も多いでしょう。以下のポイントを参考に検討してみてください。
修理がおすすめのケース
- 設置から5〜8年以内
- 保証期間内で無償修理が可能
- 修理費用が3〜5万円以内
買い替えがおすすめのケース
- 使用10年以上で複数の不具合がある
- 修理部品が生産終了
- 修理費が高額(10万円以上)
特に10年以上使用している場合、たとえ修理が可能でも、近いうちに他の部品が故障するリスクがあるため、買い替えのほうがトータルコストを抑えられるケースもあります。
エコキュートの電気代のシミュレーションは以下の記事でもご紹介していますので、ランニングコストも踏まえ、ご参照ください。
エコキュートを長持ちさせるためのポイント
エコキュートの寿命を延ばすには、日々の使い方と定期的なメンテナンスが重要です。
1. 定期的なメンテナンスを行う
- フィルター掃除(月1回程度)
- 貯湯タンクの排水(年1〜2回)
- 配管洗浄(自動洗浄機能付き機種もあり)
2. 異常を感じたら早めに対処
小さな不具合でも放置せず、早めに点検・修理を依頼しましょう。
3. 雷や停電時の注意
雷サージや停電によって基盤が故障することがあります。雷が多い地域では「雷ガード」付きの機種や対策機器の導入を検討しましょう。
買い替え時の注意点と最新モデルの特徴
買い替えを検討する際には、以下の点をチェックしましょう。
設置スペースと配管位置の確認
機種によって寸法や接続口の位置が異なるため、事前に確認が必要です。
補助金制度の活用
自治体によっては、省エネ機器導入に対して補助金が出ることがあります。買い替え前に調べておきましょう。
最新モデルはさらに省エネ・高機能
- CO2削減型の高効率機種
- アプリ連携で外出先から操作可能
- 自動配管洗浄、除菌機能搭載機種も
これまでよりランニングコストを抑えられる場合も多く、10年以上前のモデルからの買い替えであれば、光熱費の削減も期待できます。
【まとめ】10年がひとつの目安。早めの準備が安心
エコキュートは、環境にやさしく経済的な給湯システムとして、多くの家庭で活躍しています。しかし、どれほど優れた機器であっても、使用年数が経てば経年劣化は避けられません。エコキュートの寿命はおおむね10年から15年とされており、特に10年を超えたあたりからさまざまな不具合が発生しやすくなります。
「お湯の出が悪い」「エラーコードが頻繁に出る」「水漏れがある」などの症状が見られた場合は、本格的な故障の前兆かもしれません。そうしたサインを見逃さず、早めに修理や点検を行うことが、快適な給湯生活を長く保つための鍵となります。
修理と買い替えのコスト比較や、補助金制度の活用も視野に入れ、家計にやさしく快適な給湯環境を整えましょう。