毎日の生活に欠かせない給湯器。中でも、空気の熱を利用して効率的にお湯を沸かす「エコキュート」は、省エネで環境にもやさしい家庭用設備として人気を集めています。しかし、そんな便利なエコキュートでも、長く使っていると「お湯が出ない」「変な音がする」といったトラブルに出くわすことがあります。
「故障かも…?」と焦る前に、まずはよくあるトラブルの原因と対処法を知っておくことが大切です。この記事では、エコキュートで発生しやすい症状や、それに対して自分でできる確認・対応の方法、そして本格的な故障のサインについてくわしく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートのしくみとは?
エコキュートは、空気中の熱を利用するヒートポンプ技術を使ってお湯を沸かす給湯システムです。主に夜間の電力を使ってタンクにお湯をためておき、昼間はそのお湯を使うことで電気代を抑えることができます。
構成は大きく分けて3つ。外気の熱を集めてお湯を作る「ヒートポンプユニット」、そのお湯を貯める「貯湯タンクユニット」、そして家の中で温度設定や操作を行う「リモコン」です。この3つが連携して動作しているため、どこかに不具合があるとお湯が出なくなったり、リモコンにエラー表示が出たりします。
エコキュートのしくみやメリット・デメリットは以下の記事でも紹介していますのでぜひご参照ください。
よくあるトラブルとその原因、対処法
エコキュートによくあるトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか。主に以下の5つが挙げられます。
- お湯が出ない、ぬるいお湯しか出ない
- リモコンにエラーコードが出る
- 室外機や配管から異音がする
- 水圧が弱い、シャワーの勢いがない
- お湯がすぐに切れる
順番に解説していきます。
1.お湯が出ない、ぬるいお湯しか出ない
エコキュートで最も多いトラブルの一つが、「お湯が出ない」「温度が低い」といった症状です。この場合、実はタンクにお湯が残っていないだけということもよくあります。たとえば、家族全員が立て続けにお風呂に入った後や、洗濯や食器洗いに多くのお湯を使った日は、予想以上に早くタンクのお湯がなくなってしまうことがあります。
また、リモコンの設定温度が意図せず下がっている場合や、外気温が極端に低い日にはお湯の沸き上がりが追いつかないことも。こうした場合は、リモコンの設定を見直したり、しばらく時間を置いてから再度お湯を使ってみることで改善するケースが多いです。
2.リモコンにエラーコードが出る
突然リモコンに見慣れない記号や番号が表示されると、不安になりますよね。実はエコキュートには自己診断機能が備わっていて、不具合があればエラーコードを表示して知らせてくれます。
このエラーコードの意味は、機種ごとに取扱説明書に一覧が載っています。たとえば、「通信エラー」や「水温センサーの異常」など、原因と対応が書かれているので、まずは取扱説明書を確認してみましょう。一時的なエラーであれば、電源を切ってしばらくしてから入れ直すことで解消する場合もあります。
それでもエラーが消えない、あるいは再発するようであれば、故障の可能性が高く、メーカーや販売店への連絡が必要です。使用年数によっては寿命の可能性もあります。寿命かな?と思ったら、以下の記事もご参照ください。
3.室外機や配管から異音がする
「ゴーッ」「ブーン」「カタカタ」など、聞き慣れない音がすると驚きますが、すぐに故障とは限りません。冬場であれば、凍結防止のための自動運転中にコンプレッサーやファンが音を立てるのはよくあることです。
ただし、以前はしなかった異常な金属音や連続する振動音などが聞こえる場合は注意が必要です。室外機に落ち葉や小石が入り込んでいることもあるので、一度外観を確認してみましょう。異音が長く続く、または機器本体に振動を感じる場合は、早めに点検を依頼することをおすすめします。
4.水圧が弱い、シャワーの勢いがない
お湯は出るけれど、なんだかシャワーの勢いが弱い…。そんなときには、給水フィルターや配管にゴミが詰まっている可能性があります。特に、水道水の中に含まれる細かいゴミや錆などが原因で、時間とともにフィルターが目詰まりを起こしてしまうことがあります。
この場合は、取扱説明書を確認しながら給水フィルターを掃除してみましょう。それでも改善しない場合は、配管の内部に問題がある可能性があるため、専門業者による点検が必要です。
5.お湯がすぐに切れる
「まだ夜なのにお湯がなくなった…」そんな経験はありませんか?これは、使用量に対して貯湯タンクの容量が足りていないか、設定が適切でないことが原因です。たとえば、来客があって普段より多くのお湯を使った場合や、追い焚きが頻繁に行われた日などは、お湯が足りなくなることがあります。
エコキュートには、「学習機能」や「自動沸き増し」など便利な設定が搭載されているモデルもありますので、一度リモコンの設定を見直してみると良いでしょう。どうしてもお湯が足りないというご家庭は、容量の大きなタンクへの買い替えも検討してみてください。
故障の見分け方と修理のタイミング
では、どのような状態になったら「本格的な故障」と判断すべきなのでしょうか。以下のような症状がある場合は、ただのトラブルではなく機器自体の故障が疑われます。
- リモコンがまったく反応しない
- 明らかに焦げ臭いにおいがする
- タンクや配管から水が漏れている
- 電源を入れ直してもエラーが繰り返される
- 異音が止まらず、動作にも影響が出ている
こうした場合は、自力での対応は難しく、専門業者による点検・修理が必要です。保証期間内であれば無償で対応してもらえる場合もあるので、購入時の保証書を確認しておきましょう。
日頃のメンテナンスでトラブルを予防しよう
エコキュートは精密な機械です。だからこそ、定期的なメンテナンスが長持ちさせる秘訣でもあります。年に1〜2回は、取扱説明書に従ってフィルターの掃除や、タンク周辺の点検を行いましょう。
また、室外機周りは落ち葉やごみが溜まりやすい場所なので、こまめに掃除するだけでも故障リスクはグッと減ります。特に冬場は凍結によるトラブルが増えるため、外出時や長期不在時の対策も重要です。
【まとめ】エコキュートのトラブルはまず落ち着いて基本的な確認から
エコキュートのトラブルには、自分で簡単に対処できるものと、専門家による修理が必要なものがあります。まずは落ち着いて、設定の確認やフィルターの掃除など、基本的なチェックから始めましょう。それでも解決しない場合は、早めに修理を依頼することで、機器の寿命を延ばし、安全に使い続けることができます。
毎日の快適な暮らしを支えてくれるエコキュートだからこそ、トラブルが起きたときに慌てず対応することが大切です。日頃の点検と正しい知識があれば、突然の「お湯が出ない!」という場面でも冷静に対処できるはずです。エコキュートでトラブルが発生したときはぜひ参考にしてみてください。