家庭のキッチンに欠かせないガスコンロ。近年の製品は、安全性を重視した多機能モデルが主流となり、ちょっとした異常でも自動的に火を消したりガスを止めたりする仕組みが搭載されています。
しかし、実際に「火がつかない」「途中で勝手に消える」といった症状が起こると、「故障では?」「どう対処すればよいの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ガスコンロの安全装置が作動する主な原因と、リセット方法・正しい対処手順について、メーカー視点でわかりやすく解説します。
1. ガスコンロの安全装置とは?

ガスコンロの安全装置は、調理中の事故やガス漏れを未然に防ぐために設けられています。主な安全機能は以下の通りです。
● 立ち消え安全装置

風や煮こぼれなどで火が消えた際、自動的にガスの供給を止める機能です。バーナー内の熱電対(温度センサー)が炎の熱を感知しており、火が消えるとガスを遮断します。
● 調理油過熱防止装置

揚げ物などで油の温度が危険なレベルに達すると、火力を弱めたり自動消火したりして油火災を防止します。
● 消し忘れ消火機能

一定時間(おおよそ2〜3時間)火をつけっぱなしにすると、自動的に火を消す仕組みです。
● 焦げつき消火機能

鍋底の温度が異常に高くなった場合、空焚きと判断して消火します。焦げつきや火災防止に有効です。
● Siセンサー(安全センサー)

近年のガスコンロでは、これらの安全機能を統合管理する「Siセンサー」を搭載しています。異常を自動検知し、火を消す・ガスを遮断するなど最適な制御を行います。
2. 安全装置が作動する主な原因

安全装置が作動すると火が消えたり、点火しなくなったりします。これはコンロが異常を検知して安全を確保している証拠ですが、原因を理解しておくことでスムーズに対処できます。
(1)煮こぼれ・汚れによる誤作動

センサー部分に煮汁や油汚れが付着すると、温度を正確に検知できず誤作動することがあります。特にバーナー中央の温度センサーが汚れていると、すぐに火が消える原因になります。
(2)風による立ち消え

強い換気扇の風や窓からの風で火が揺れると、立ち消え安全装置が作動しガスが遮断されます。
(3)点火操作が短すぎる

近年のコンロは安全のため、点火ボタンを1〜2秒ほど長押ししないと炎が安定しません。短く押すと火がついた直後に消えることがあります。
(4)センサーの経年劣化

長年使用していると、金属センサーの感度が低下し、異常検知が増える傾向があります。定期的な点検が推奨されます。
(5)電池残量やガス圧の低下

点火が電池式のタイプでは、電池残量が少ないと火花が弱まり、正常に点火できない場合があります。また、プロパンガスの残量やガス圧が不足している場合も同様の症状が出ます。
3. 安全装置が作動したときのリセット方法

安全装置が作動した際は、焦らずに以下の手順でリセットを行いましょう。
(1)ガスの元栓を閉める

まずはガスの元栓をしっかり閉めてください。内部に残ったガスを放置すると再点火時に危険を伴います。
(2)換気を行う

異臭がする場合は、窓を開けて換気します。都市ガスは空気より軽く、プロパンガスは重いため、上下方向の空気の流れを意識して換気するのがポイントです。
(3)バーナー・センサーを清掃する

センサーやバーナー部に汚れがある場合は、柔らかい布で拭き取り、完全に乾燥させてから再点火します。金属ブラシや洗剤の使用は避け、センサーを傷つけないように注意しましょう。
(4)電池の交換

電池式コンロの場合、単一または単二電池を新品に交換してください。電池交換で点火不良が解消するケースは多く見られます。
(5)再点火を試す

上記を確認したうえで元栓を開き、点火ボタンを1〜2秒間押し続けて再点火を行います。炎が安定していればリセット完了です。
もし再び消える場合は、センサーや基板に問題がある可能性があります。
4. それでも直らない場合の対応

次のような症状が続く場合は、自分での対応を中止し、ガス会社またはメーカーの修理窓口に相談してください。
- 何度試しても火がつかない・すぐ消える
- バーナー付近から異音や異臭がする
- 炎の色が赤や黄色で不安定
- 長期間掃除をしておらず内部が汚れている
特に、Siセンサー搭載機やマイコン制御タイプのコンロは、内部構造が複雑です。自己修理や分解は非常に危険ですので、専門技術者による点検・修理を依頼しましょう。
5. 日常的にできる予防・メンテナンスのポイント

安全装置の誤作動を防ぐために、日頃から次の点を心がけましょう。
- バーナーやセンサー部分を定期的に清掃する
- 換気扇や窓からの強風を避けて使用する
- 点火ボタンはしっかり押して火が安定するまで離さない
- 電池残量を定期的に確認する
- 揚げ物調理中は温度センサーを覆わない
これらを実践することで、トラブルの発生を大幅に減らすことができます。
6. 安全装置が頻繁に作動する場合のチェックリスト

「点火してもすぐ火が消える」「使うたびに安全装置が作動する」といった症状が続く場合、
いきなり“故障”と判断するのは早計です。
安全装置が作動する原因の多くは、周囲の環境や使用状況のちょっとした要因によるものです。
以下のチェックリストを参考に、順に確認してみましょう。
チェック①:センサーやバーナーが汚れていないか

煮こぼれや油汚れがセンサーに付着していると、炎を正しく検知できません。特に中央部の温度センサーやバーナーキャップの汚れは誤作動の原因になります。
柔らかい布で拭き取り、乾燥させてから再点火してみましょう。
チェック②:鍋底がセンサーに正しく接しているか

焦げつき消火機能や温度センサーは、鍋底とセンサーが正しく触れていないと誤判定します。鍋が大きすぎたり、底が反っていると温度が伝わりにくく、「空焚き」と判断されて消火することがあります。
底が平らな鍋・指定サイズの鍋を使用しましょう。
チェック③:風や換気扇の影響はないか

強い換気や窓の風で炎が揺れると、立ち消え安全装置が作動します。
調理中は換気扇の風が直接当たらない位置で使うのがポイントです。
チェック④:電池の残量を確認

電池式のコンロでは、電池残量が少ないと点火が弱まり、火が安定せずに安全装置が作動するケースがあります。
使用期間が6か月以上なら新品電池への交換を試してみてください。
チェック⑤:ガスの供給状態に問題はないか

プロパンガスの場合、ボンベの残量が減ると火力が不安定になります。
都市ガスでも、他の機器(給湯器など)と同時使用時に圧力が下がることがあります。ガス会社に供給状態を確認すると、原因が特定しやすくなりますので、確認してみましょう。
これらの項目を一通り確認しても改善しない場合は、センサーの故障や内部基板の不具合など、機器内部のトラブルが考えられます。その場合は、自分で分解せずにメーカーや販売店、ガス会社の点検サービスを利用してください。
安全装置が頻繁に作動するということは、センサーがしっかり働いている証拠でもあります。正しい使い方とメンテナンスを行うことで、故障リスクを最小限に抑えることができます。
他にも、ガスコンロの火がつかない場合の原因や対処法は、以下の記事でも紹介していますのでご参照ください。
7. 【まとめ】安全装置が作動しても慌てず、原因を確認することが大切

ガスコンロの安全装置は、私たちの暮らしを守るために設けられた大切な機能です。火が消えたり点火しなかったりしても、必ずしも故障とは限りません。汚れ・風・電池切れといったちょっとした原因で作動しているケースが多いのです。
まずは落ち着いて原因を確認し、清掃・電池交換などの基本的な対処を行いましょう。それでも改善しない場合は、専門業者へ点検を依頼してください。
当社では、お客様に安心してガス機器をお使いいただくために、定期点検・メンテナンスのご相談も承っております。ガスコンロの不調やお困りごとがありましたら、弊社「都市ガスサービス」にお気軽にお問い合わせください。


