日常生活を送るうえで、お湯の利用は欠かせません。
しかし、何らかの原因から給湯器が故障してお湯が使えなくなると、日常生活に支障をきたしてしまいます。
それだけではなく、給湯器の故障を放置しておくとガス漏れなどの危険性があるので注意が必要です。
そこで本記事では、給湯器が故障した際の対処法について、まずは故障の原因や予防策を解説します。
故障したと考えられる症状に応じた対処法も、具体的にまとめたので参考にしてください。
給湯器が故障する5つの主な原因と予防策
給湯器が故障するのは、以下の状況が当てはまると故障の原因になりやすい傾向があります。
- 経年劣化
- 水道管の凍結
- 給気口や排気口のふさぎ
- 電気系統のトラブル
- メンテナンス不足
順番に原因と自分でできる予防策を取り上げていきます。
1.経年劣化
経年劣化は給湯器が故障する原因の中でも、多いケースです。
給湯器本体の寿命である耐用年数は、メーカーや機種にもよりますが「一般社団法人日本ガス石油機器工業会」では、標準使用期間を10年とされています。
耐用年数が過ぎるような長期的な使用は、必然的に部品の消耗や本体の負担がかかります。
経年劣化による給湯器の故障を予防するには、使用環境に応じた機種選びが重要です。
たとえば、給湯器の使用が多いような複数人住む家庭と単身者と比較すると、給湯器にかかる負担にも差があります。
つまり、給湯器に過度な負担がかからないような機種選びをすれば、給湯器の故障を予防できます。
出典:一般社団法人日本ガス石油機器工業会「ガス・石油燃焼機器にも寿命があります」(参照2023-12-4)
2.水道管の凍結
冬場に水道管が凍結し、電気系統にトラブルが発生するリスクもあるので注意が必要です。
そもそも給湯器には「凍結防止機能」が搭載されている機種もありますが、気温が極端に低くなったタイミングで発生する可能性が高まります。
たとえば、屋外に給湯器を設置している場合、水道管の凍結が原因になり、配管の破損が考えられます。
また、給湯器を使用する環境によっては、雪止め水が給湯器の内部に入り込む可能性もあるのです。
給湯器に搭載された凍結防止機能に頼りすぎないためにも、ガス栓を閉めたうえで水を流し続ける方法も1つの手です。
3.給気口や排気口のふさぎ
給気口や排気口がふさがれていると、不完全燃焼になり給湯器が故障する原因になります。
給気口や排気口がふさがれている状態が続くと、給湯器がお湯を作るのに必要な新鮮な空気が不足し、不完全燃焼の発生リスクを高めるのです。
給気口や排気口のふさぎによる不完全燃焼を防止するには、定期的なメンテナンスを兼ねた掃除が必須です。
給気口や排気口がふさがれる主な要因の1つは、ホコリやゴミの詰まりが考えられます。
給湯器が異常着火すると、本体が故障する原因になるので注意しましょう。
4.電気系統のトラブル
給湯器を作動させるために、コンセントを差し込んで作動する機種の場合、電気系統のトラブルが原因で故障する可能性があります。
電気系統のトラブルで考えられる主なケースは、電源ケーブルの経年劣化です。
停電や地震などの災害でブレーカーが落ちた際も、給湯器にも不具合がないかの確認が必須です。
電気系統のトラブルで給湯器の故障を予防するためには、コンセント付近を定期的に掃除してホコリを払っていく方法が挙げられます。
定期的に掃除をしておけば、電源ケーブルの損傷にもすぐに気づけます。
5.メンテナンス不足
ここまで紹介した通り、給湯器が故障する大きな原因の1つがメンテナンス不足です。
普段から給湯器周りの掃除をしていれば、後述する異音や異臭などにも早めに気づけます。
たとえば、風呂の温度が低いと感じた場合、循環口のフィルターや配管に汚れが詰まっている可能性があります。
給湯器周りの掃除だけでなく、フィルターや配管内部などを含めたメンテナンスを定期的に実施しておかなければ、給湯器本来の力を発揮しにくくなるのです。
つまり給湯器を故障させないためにも、定期的にメンテナンスを実施しておくのが、給湯器を長持ちしやすくなる秘訣になります。
給湯器が故障したと考えられる5つの症状と対処法
ここからは給湯器が故障する原因を、症状別で取り上げていきます。
給湯器が故障したと考えられる症状は、以下の通りです。
- 水漏れしている
- お湯が出ない
- 設定温度にならない
- 異音がする
- 異臭がする
順番に原因も踏まえて解説していきます。
1.水漏れしている
給湯器から水漏れが発生していると、ごくわずかであっても給湯器は故障しています。
水が漏れていると水道代が気になるものですが、給湯器を安全に使い続けるのも困難です。
たとえば、配管のつなぎ目で使われているゴムパッキンが劣化していたりナットが緩んでいたりする場合が主な原因です。
どちらも経年劣化が原因になっている一方で、凍結による破損も考えられます。
また、給湯器を設置する際の施工不良や初期不良の可能性もあるので注意が必要です。
仮に給湯器から水漏れが発生していた場合、給湯器の修理か部品の交換のどちらかが必要になります。
給湯器からの水漏れを放置してしまうと、給湯器の外装がサビてしまう原因になります。
サビの範囲が広がり、基盤にまで伝わってしまう前に点検や修理を依頼しましょう。
2.お湯が出ない
給湯器をつけているのにお湯が出ない場合、故障の可能性もあります。
しかし、ブレーカーのような電気系統や蛇口などで不具合が発生している可能性もあるのです。
お湯が出ない症状で故障以外に考えられる原因は、主に以下の通りです。
- 水道管が凍結している
- 蛇口の故障している
- 停電している
- メンテナンスが不足している
- ガスの元栓が閉まっている
つまり、お湯が出ない場合は給湯器の故障と判断する前に、発生箇所に応じた対処が必要になります。
給湯器が故障していると判断する前に確認しておきたいポイントと対処法は以下の通りです。
・蛇口の確認
蛇口をひねって水が出るか確認し、出ない場合は給湯器の故障ではなく断水や水道管側の問題が考えられます。
・ガスの確認
ガスの元栓がしまっていたり安全装置が作動していたりすると、ガスは遮断されている状態になります。
・電気系統の確認
電源プラグが外れていたりブレーカーが落ちていたりすると、給湯器が作動しません。
電力が供給されているか確認しましょう。
お湯が出ない状態で、上記の3つを確認しても問題が見つからなかった場合、給湯器の故障が考えられます。
給湯器のリモコンにエラーコードが表示されている場合もあります。
給湯器からお湯が出なくて故障しているか心配な方は「給湯器から水は出るのにお湯が出ない原因とは?状況別の対処法や確認箇所を徹底解説!」で、より詳しく解説しているので参考にしてください。
3.設定温度にならない
給湯器で設定している温度のお湯がなかなか出ない場合、故障ではなく給湯器の機能が作動している可能性も考えられます。
たとえば浴室とキッチンで同時にお湯を使った場合、どちらかが「優先モード」になっている場合があります。
また、冬場は水温が低いので給湯器で設定した温度になるまでの時間がかかるものです。
しかし、追い焚き機能が使えなくなった場合は注意が必要です。
フィルターにゴミや髪の毛が詰まっているなら、定期的な掃除で解決します。
一方で循環金具が原因で追い焚き機能が使えなくなっている場合、業者による専門的な知識と経験が必要になります。
追い焚き機能が使えなくなり、フィルターを掃除しても解決しない場合は、専門業者に問い合わせてみましょう。
4.異音がする
給湯器を作動した際、明らかに異変を感じる音がした場合は、故障しているか故障の前兆と考えられます。
給湯器の異音で考えられるケースは、以下の通りです。
・ガス漏れや不完全燃焼
「ボン」と鳴ったあとにガスの臭いを感じた場合は、ガス漏れの可能性が高いので、すぐに給湯器の使用をやめ、業者に連絡しましょう。
・給気口の詰まり
給気口にゴミやホコリなどが詰まっている場合「ゴー」と異音が発生する可能性があります。
・ファンモーターの故障
「ピー」「ヒュー」などの異音がした場合、ファンモーターの故障が考えられます。
上記のように、給湯器の異音は何らかの不具合を知らせているケースが大半です。
給湯器からの異音だけでなく、リモコンのエラーコードや電源ランプなどで、すでに不具合を知らせている場合もあります。
普段使用する給湯器であっても、時には注意深く確認しておきましょう。
5.異臭がする
給湯器からガス漏れを感じさせるような異臭を感じた場合、「極めて危険な状態」と判断してください。
ガスが漏れていなくても、着火する時点で特有の臭いが発生している場合も考えられます。
しかし、着火しているのにもかかわらず、しばらく経ってもガス臭さを感じる場合は、ガス漏れや不完全燃焼の可能性が高いのです。
給湯器からガス臭さのような異臭を感じている際、最悪の場合で火災や爆発、一酸化炭素中毒などの危険性があります。
ガス管の異常を知らせている可能性もあるので、すぐに給湯器の電源を落とし、ガスの元栓を閉めましょう。
そして業者へ連絡し、修理や点検をしてもらう必要があります。
給湯器が故障した際によくある質問
ここからは給湯器が故障した際によくある質問を取り上げていきます。
今回紹介する疑問は、以下の通りです。
- 給湯器が故障した際の費用相場はいくら?
- 給湯器が故障した際のお風呂はどうすれば良いのか
- 給湯器が故障した際はどこの業者に連絡すればいいの?
順番に回答しながら解説していきます。
給湯器が故障した際の費用相場はいくら?
給湯器が故障した際、修理するにしても交換するにしても、使っている給湯器が「保証期間内」なのかで費用が決まります。
仮に保証期間内ではなかった場合、有償での修理になります。
修理が必要になった場合の費用相場は、以下の通りです。
修理する場所 | 修理にかかる費用相場 |
電装系(配線や制御部品など) | 6,000~47,300円 |
燃焼系(バーナーやガス電磁弁など) | 17,000~33,000円 |
水量制御系(水量センサーや水流ターボなど) | 10,000~35,000円 |
操作リモコン | 16,000〜38,000円 |
安全装置や過熱防止装置 | 7,500~58,000円 |
一方で給湯器の交換が必要になるほどの故障だった場合、給湯器本体の性能で価格が変動します。
たとえば、追い焚き機能の有無や省エネ性能の高さなどが影響します。
追い焚き機能がなくて省エネ性能が低い給湯器であれば、メーカーや機種にもよりますが60,000〜150,000円前後が相場です。
追い焚き機能が搭載されていて省エネ性能が高い給湯器であれば、130,000〜250,000円前後かかります。
また、30,000〜60,000円前後の工事費用も発生します。
給湯器を点検してもらい、プロの目線からしっかりアドバイスをもらっておきましょう。
給湯器の修理が必要か判断する方法など「給湯器は修理すべきなの?交換との見極め方や状況別の対処法など解説で、より詳しく解説しているので参考にしてください。
給湯器が故障した際のお風呂はどうすれば良いの?
給湯器が故障した際、お湯が使えないのはもちろんですが、お風呂に入れないのは困りものです。
給湯器が故障して業者が来ても、その日に解決できない場合も考えられます。
そこで給湯器が故障している最中に、自宅のお風呂を代用する案をまとめたので参考にしてください。
・銭湯を利用する
近くに銭湯があって修理期間が短い場合におすすめの代用案です。
しかし、人数が多かったり修理期間が長い場合は、金銭的な負担がかかってしまうのが難点です。
・親戚や知人のお風呂を借りる
迷惑がかからないよう、事前に連絡を取りながら時間を決める必要があります。
・湯沸器を利用する
「湯沸かし太郎」のような湯沸器を浴槽に入れて作動するだけで代用できる方法です。
しかし、水からお湯にするには、機種によりますが相当な時間がかかってしまいます。
夏場は3時間ほどかかり、冬場は7時間以上かかります。
また、本体価格も30,000円前後なので、購入するならしっかりと考えたうえで購入しましょう。
その他、蒸しタオルやドライシャンプーなどで代用する方法もあります。
お風呂に入れない期間が長ければ長いほど、ストレスに感じてしまう方もいるでしょう。
給湯器が故障して、修理が完了するまでの日数をしっかり業者に確認したうえで代用していく必要があります。
給湯器が故障した際はどこの業者に連絡すればいいの?
給湯器が故障した際、主に以下の業者が修理や交換をします。
- 給湯器販売会社
- 給湯器メーカー
- ガス会社
そもそも給湯器を含めたガス関連の作業には、「液化石油ガス設備士」や「第二種電気工事士」のような国家資格などが必要になります。
給湯器が故障した際の連絡先で注意すべき点として挙げられるのが、所有者の違いです。
たとえば、賃貸物件に設置されている給湯器の場合、貸主である管理会社や大家さんへの連絡が必要です。
先に業者へ連絡してしまうと、トラブルにつながる可能性もあるので、注意しておきましょう。
参考:給湯器は修理すべきなの?交換との見極め方や状況別の対処法など解説
まとめ|給湯器が故障する前に定期的なメンテナンスを実施しよう
今回は給湯器が故障した際にどうすればいいのか、具体的な原因を解説したうえで対処法や予防策を紹介しました。
給湯器が故障する主な原因の1つが「経年劣化」です。
耐用年数が過ぎていたり過度に負担をかけたりした使い方だと、給湯器が故障するリスクが高まります。
故障した給湯器を放置してしまうと、ガス漏れや不完全燃焼により火災や爆発、一酸化炭素中毒の危険性もあります。
給湯器の故障を早期発見するために、定期的な掃除やメンテナンスを実施しましょう。