脱炭素社会の実現に向けて、住宅分野でも環境負荷の低減が求められています。
特に、家庭でのエネルギー消費の約4割を占める給湯は、効率的なエネルギー利用が重要な課題といえます。実は家庭におけるエネルギー消費量が最も多いのが、お風呂や台所などで使う「給湯」の分野なのです。
そこで注目されているのが、「ハイブリッド給湯器」。本記事では、ハイブリッド給湯器の仕組み、メリット・デメリット、導入時のポイントについてくわしく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
ハイブリッド給湯器とは?
ハイブリッド給湯器は、ガスと電気(ヒートポンプ)を組み合わせた次世代型の給湯システムです。ヒートポンプユニットで空気の熱を利用してお湯を沸かし、タンクに貯めておきます。
必要に応じて、ガスを使用してお湯を供給することで、効率的なエネルギー利用を実現できる画期的な給湯器です。
ハイブリッド給湯器のメリット
ハイブリッド給湯器にすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。主に以下の3点が挙げられます。
- 高いエネルギー効率で光熱費を削減
- CO₂排出量を抑えて環境に配慮
- 災害時の備えとしても有効
具体的に見ていきましょう。
1.高いエネルギー効率で光熱費を削減
ハイブリッド給湯器は、ヒートポンプ技術を活用することで、従来のガス給湯器に比べて高いエネルギー効率を実現します。
特に、都市ガスではなくプロパンガスや灯油を使用している家庭では、年間の光熱費を大幅に削減できる可能性があります。たとえば、ノーリツのユコアHYBRIDの場合、従来型のガス給湯器(LPガス)と比べて年間およそ79,000円、省エネ給湯器のエコジョーズと比べても年間およそ59,000円の光熱費削減が期待できます。
2. CO₂排出量を抑えて環境に配慮
ハイブリッド給湯器は、空気の熱を利用するため、CO₂排出量を大幅に削減できます。
たとえば、ノーリツのユコアHYBRIDなら、従来のガス給湯器(LPガス)と比べて年間およそ53%のCO₂を削減できるとされています。
3. 災害時の備えとしても有効
ガスと電気を併用するハイブリッド給湯器は、停電時でもガスを利用してお湯を供給できるため、災害時の備えとしても有効です。
ハイブリッド給湯器のデメリット
一方、ハイブリッド給湯器のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。主に以下の4点が挙げられます。
- 導入費用が高い
- 地域の気候や家族構成によっては光熱費の削減が難しい
- 寒冷地では使用が難しい
- 設置スペースが必要
順番に解説します。
1. 導入費用が高い
ハイブリッド給湯器は、他の給湯器に比べて導入費用が高く、約45~70万円程度かかることがあります。
導入費用を回収するまでに数年から十数年かかる場合があるため、家族構成や使用頻度を考慮して導入を検討する必要があります。
2. 地域の気候や家族構成によっては光熱費の削減が難しい
暖かい地域やお湯の使用量が少ない家庭では、ハイブリッド給湯器の導入による光熱費の削減効果が薄くなる可能性があります。特に、タンクに貯めたお湯で十分にまかなえる家庭では、ガス給湯の機会がなく、ハイブリッドならではの強みが活かされません。
3. 寒冷地では使用が難しい
ヒートポンプユニットは寒さに弱い特徴があり、気温が低い地域ではお湯を沸かす効率が悪くなります。
極端に寒い環境では、給湯器が作動しなくなることもあるので注意が必要です。寒冷地にお住まいの場合は、寒冷地仕様のハイブリッド給湯器を選びましょう。
4. 設置スペースが必要
ハイブリッド給湯器は、タンクユニットを必要とするため、一定の設置スペースが必要です。
特に、エコキュートと比較するとコンパクトではありますが、従来のガス給湯器と比べるとスペースを取るため、設置場所の確保をしましょう。
補助金制度の活用(2025年4月現在)
導入費用が高いとはいえ、ハイブリッド給湯器の導入には、国や自治体が提供する補助金制度を活用することで初期費用を抑えることが可能です。
環境負荷の低減やエネルギー効率の向上を目的とした「住宅省エネルギー技術導入支援事業」などの制度があります。
補助金の申請には、申請書類の提出や事前審査、導入後の報告などが必要となる場合があるので注意しましょう。また、補助金の交付には予算の上限があるため、早めの申請が推奨されます。詳細については、経済産業省やお住まいの自治体の公式サイトで最新の情報を確認してください。
具体的には、以下のような補助金制度が活用できます。
1. 住宅省エネルギー技術導入支援事業(2025年度)
この事業では、省エネ性能の高い設備の導入に対して補助金が交付されます。ハイブリッド給湯器も対象となる場合があり、最大で15万円の補助金が支給されることがあります。
ただし、補助金の額や対象となる設備は年度や地域によって異なるため、最新の情報を確認することが重要です。
2. 子育てグリーン住宅支援事業(住宅省エネキャンペーン2025)
国土交通省と環境省が共同で実施するこの制度は、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、断熱リフォームや省エネ設備の導入を支援します。必須工事として、開口部の断熱改修、躯体の断熱改修、エコ住宅設備の設置のうち2種以上を実施することで、補助対象となります。
補助額は、必須工事3種をすべて実施した場合で上限60万円/戸です。申請はリフォーム事業者を通じて行う必要があります。申請期間は令和6年11月22日から令和7年12月31日までを予定していますが、予算の上限に達し次第終了します。
3. 地方自治体の独自補助金
各自治体でも、地域の環境政策やエネルギー効率向上を目的とした独自の補助金制度を設けている場合があります。これらの制度では、ハイブリッド給湯器の導入に対して追加の補助金が支給されることがあります。
補助金の額や申請条件は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の公式ウェブサイトや窓口で最新情報を確認することをおすすめします。
【まとめ】ハイブリッド給湯器は環境にやさしい次世代型給湯システム
ハイブリッド給湯器は、高いエネルギー効率と環境配慮を兼ね備えた次世代型の給湯システムです。
導入には一定の費用がかかりますが、光熱費の削減やCO₂排出量の削減などのメリットがあります。導入を検討する際は、自身の家庭の状況や地域の気候を考慮し、補助金制度を活用することで、より効果的な導入が可能です。
2050年の脱炭素化に向けた省エネで重要視されている「ハイブリッド給湯器」。交換を検討されている場合は、ぜひ弊社都市ガスサービスにお気軽にお問い合わせください。