家庭で使用するガス給湯器は、日常生活に欠かせない重要な設備です。しかし、長年使用するうちに劣化や故障が発生し、突然お湯が出なくなることもあります。そのために、給湯器の不調を早期発見し適切に対処することが重要です。長く快適に使用するために寿命や故障のサインを見逃さないようにしましょう。
本記事では、リンナイやノーリツといった主要メーカーのガス給湯器を中心に、寿命の目安や故障のセルフチェック方法についてくわしく解説します。当てはまる場合は交換を検討されることをおすすめします。ぜひ参考にしてみてください。
ガス給湯器の「寿命」とは?
家庭用ガス給湯器の耐用年数は、ご家族構成や使用頻度にもよりますが、10年程度といわれています。
家庭で定期的にメンテナンスを実施する機会はなかなか無いため、調子が悪いまま使用し続けて最終的には故障し、突然お湯が出なくなるといった事例が多く見受けられます。
使用頻度や環境によっては、より早く故障することも。寿命に影響する要因としては、以下の5点が大きく関係します。
- 使用頻度
- 設置環境
- メンテナンスの有無
- 水質
- 季節
順番に解説しましょう。
1.使用頻度
家族の人数が多いなど、頻繁にお湯を使う場合は寿命が短くなります。給湯器には、16号・20号・24号の3つの大きさがあり、号数の違いは、同時に使える湯量です。
号数が大きいほど、同時に使える湯量が増えます。16号は単身者向け、20号は2~3人暮らし向け、24号は4人以上の世帯向けです。そのため、同居人数が増えたら適切な号数の給湯器交換をおすすめします。
メーカーが定めるガス給湯器の耐用年数は、給湯温度や1日の使用水(湯)量、使用時間、使用日数などの想定数値によって算出されています。
使用頻度や使用料が想定より多い場合は、メーカーの耐用年数よりも早く寿命を迎えてしまう可能性があるので、お湯を出しっぱなしにしないなど、節水することも心がけましょう。
2.設置環境
湿気の多い場所や直射日光が当たる場所に設置していると、劣化が早まります。
また、給湯器には「給気口」と「排気口」があります。排気口の周辺に障害物があると、排気が障害物に当たって反射し、給気口から取り込まれ、狭い範囲で空気が循環する「ショートサーキット」と呼ばれる現象が起こります。
ショートサーキットが起きると、給湯効率が下がり、追い焚きの温度が設定温度まで上がらないなどの支障が出るため、排気口の周辺には物を置かないようにしたり、ゴミが溜まらないように清掃したりして、常に整頓しておきましょう。
3.メンテナンスの有無
定期的に点検・清掃を行うことで、寿命を延ばすことができます。
家庭用給湯器でメンテナンスを定期的に行うことがあまりないからこそ、意識的に早めの点検・清掃を行うことが重要です。
4.水質
ガス給湯器は水道水を加熱するため、水質によっては、給湯器の内部で汚れや腐食が進行する場合があるので注意が必要です。
特に、水道水の硬度が高い地域では、内部にスケール(カルシウム成分)が蓄積しやすく、性能低下を招きます。
また、硬水や鉄分の多い水道水は、内部の部品を錆びさせるため、給湯器の寿命が短くなる可能性も。水道水の水質に応じて、適切なフィルターを使用することで、故障を予防することができます。
5.季節
水道の水温が低い冬は、冷たい水からお湯を沸かすため、給湯器の負担が大きくなり故障が多くなる時期です。給湯器が凍結すると、給湯器の内部や配管が損傷し、破裂してしまう可能性があります。
損傷に気づかないまま使用し続けて、修理できないほど状態が悪くなり、交換せざるをえなくなる場合もあるので特に寒い時期は凍結防止対策をして注意しましょう。また、雨がよく降る梅雨どきや、秋も、給湯器の故障が増えやすい時期です。
ガス給湯器の故障の兆候とセルフチェック方法
給湯器が故障する前に、いくつかの兆候が現れることがあります。主に以下のポイントをセルフチェックし、早めの対応を心がけましょう。
- お湯の温度が安定しない
- ガス給湯器から異音がする
- 煙や異臭が発生する
- エラーコードが表示される
一つずつ見ていきましょう。
1.お湯の温度が安定しない
お湯の温度に以下のような兆候が見られたら、注意が必要です。
- お湯がぬるい・熱すぎる:温度センサーや燃焼部の不具合の可能性。
- 急に水になる:ガス供給の問題や内部部品の劣化。
【セルフチェック方法】
給湯温度を設定し直し、改善するか確認する。
- 他の蛇口でも同じ症状が出るかチェック。
- ガスの供給状況を確認(元栓が閉まっていないか)。
2.ガス給湯器から異音がする
ガス給湯器に異常がある場合、以下のような異音が発生する場合があります。
- 「ゴーッ」という異常燃焼音
- 「カチカチ」という着火不良の音
- 「ポンッ」という爆発音
【セルフチェック方法】
- 燃焼部分や排気口に異常がないか確認。
- 冬場の場合、配管が凍結していないかチェック。
3. 煙や異臭が発生する
ガス給湯器はガスを使用しているため、火災などの大事に至らないためにも、以下のような煙や異臭がある場合は注意しましょう。
- 黒煙が出る:不完全燃焼の可能性。
- ガス臭がする:ガス漏れの危険性あり。
【セルフチェック方法】
- すぐに給湯器の使用を中止し、換気を行う。
- ガス会社やメーカーのサポートに連絡する。
4.エラーコードが表示される
多くのガス給湯器には、エラーコードが表示される機能があり、エラーコードの種類によって故障の原因を特定できます。
【セルフチェック方法】
- 各メーカーによってエラー表示が異なるため、取扱説明書を確認してエラーコードに応じた対応を実施。
- 一度電源を切って再起動し、エラーが再発するか確認。
- 再発する場合はメーカーへ相談。
ガス給湯器の定期的なメンテナンスと点検方法
ガス給湯器を長持ちさせ、安全に使用するためには、日常的なメンテナンスが不可欠です。以下の4つのポイントに注意し日頃からセルフチェックと対策を行いましょう。
- フィルターの清掃
- 配管の確認
- 燃焼部分の点検
- 排気口のチェック
順番に解説します。
1.フィルターの清掃
給湯器には、異物混入を防ぐためのフィルターが備わっています。
清掃方法:
- 給湯器の電源を切る。
- フィルターを取り外し、水洗いをする。
- 乾燥させた後、元に戻す。
2.配管の確認
チェックポイント:
- 配管のつなぎ目から水漏れがないか。
- 錆びや腐食が進んでいないか。
- 冬場に凍結防止対策ができているか。
3.燃焼部分の点検
- 燃焼部にススや汚れが付着していないか確認。
- 定期的に専門業者による点検を受ける。
4.排気口のチェック
- 排気口にゴミやホコリが詰まっていないか確認。
- 鳥の巣などがないか定期的にチェック。
給湯器の買い替え時期と選び方
寿命が近づいた給湯器は、修理するよりも新しいものに交換した方がコストパフォーマンスがよい場合があります。
そのために、寿命の目安と言われる「10年」が一つの区切りです。保証期間や買い替えのタイミング、おすすめのガス給湯器は以下をご参照ください。
ガス給湯器の保証期間
ガス給湯器が故障してもメーカーの保証期間内(通常1~2年)であれば、ご利用の給湯器メーカー(ノーリツやリンナイなど)で対応できる場合があります。
まずは給湯器のメーカーと保証期間を確認し、保証期間内であれば各メーカーへ問い合わせてみましょう。
給湯器メーカー | 一般保証期間 | BL認定品保証期間 | 有償保証 |
---|---|---|---|
リンナイ | 1年 | 2年 | 3年(要申込) |
ノーリツ | 1年 | 2年 |
買い替えのタイミング
以下のような場合は、買い替えることをおすすめします。
- 使用開始から10年以上経過している。
- 修理費用が本体価格の半分以上かかる。
- 燃費効率が悪くなり、ガス代が増えている。
ガス給湯器の修理か交換かを見極める目安は、以下の記事でもくわしく紹介していますのでご参照ください。
おすすめの機種選び
ガス給湯器交換時におすすめの給湯器は以下の通りです。
- エコジョーズ(高効率給湯器):ガス代節約におすすめ。
- オート・フルオート機能付き:お風呂の自動お湯はり・追い焚き機能がついていて家事の時短に便利。
- 設置スペースに合ったサイズ:号数(16号、24号など)を家族人数に合わせる。
【まとめ】ガス給湯器は適切なセルフチェックとメンテナンスで長持ちさせよう!
ガス給湯器は、適切なセルフチェックとメンテナンスを行うことで、安全に長期間使用することが可能です。故障の兆候が見られたら、すぐに点検を行い、必要に応じて修理や交換を検討しましょう。
特に、10年以上使用している場合は、新しい機種への買い替えも視野に入れておくとよいでしょう。定期的なメンテナンスを習慣化し、安全で快適な給湯環境を維持することがガス給湯器の寿命を延ばす近道です。
弊社都市ガスサービスでもガス給湯器の点検・交換を承っております。ご検討の際はお気軽にご相談ください。